〈43〉 ページ43
藤「お邪魔します。」
北「おぅ」
にいちゃんの後に続き、部屋に上がると俺の大好きだった懐かしい香りがした
煙草と
オイルと
甘い香り
久しぶりに嗅ぐにいちゃんの香りに胸が締め付けられる…
まぁ座れと押し入れの中から出された座布団にゆっくりと腰を下ろした。
北「お前、お茶でいい？」
そう言うと冷蔵庫の中からペットボトルを取り出し、俺に差し出す
思わずその黒く汚れた指先に目を奪われた。
なかなか受け取らないのを不思議に思ったのか、にいちゃんはどうした？と不思議そうに見つめてきた
北「？」
藤「にいちゃんの手…」
北「あぁ、相変わらず汚ねぇだろ？」
藤「汚くなんてないよ。にいちゃんが仕事頑張ってる証だろ？」
北「それ、昔聞いたな(笑)」
藤「その手、大好きだよ。」
北「なんだか懐かしいな。」
手渡されたペットボトルには“おーいお茶”と書かれたラベルが…
藤「まだこのお茶好きなんだね。」
北「ん？あぁ、そう言われればこればっかだな。」
そう言いながらどかっと俺の前に座り、ポケットから煙草を出しライターと共にテーブルに置いた。
Americaspiritと書かれたフィルターを見た瞬間、堪えきれず笑ってしまった
藤「ふふふっ」
北「ん？どした？」
藤「お茶も煙草も相変わらず同じだからさ(笑)」
北「あぁ、そうだな‥年ばっかりとってるけど俺は全然変わってないよ。」
藤「うん。相変わらず可愛い。」
北「可愛いって言うな！(笑)お前は‥お前は変わったな…」
にいちゃんは目を細め、穏やかに笑った
藤「そうかな？」
北「俺、かっこ良くなるって言ってたじゃん。お前今モテモテだろ〜」
藤「そうだね。まぁ、モテてるよ。」
北「少しくらいは否定しろよ！そんな事ないよって言えよ！」
藤「あはははっ」
9年ぶりとは思えないくらいにはずむ会話と、そこに流れる心地よい空気がにいちゃんと俺を包みこんでいた…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いろ果(プロフ) - あこさん» あこさん、初めまして♪コメント有難うございます！泣かせてしまい申し訳ありません(TT)でも、そう言ってもらえてとても嬉しいです！続編も亀更新ながら楽しんで書いていこうと思いますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです(´∀｀*) (2019年3月11日 16時) (
レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - いろ果さまはじめまして。心に沁みる素敵なお話に泣きながら一気に読みました。続編も楽しみにしております！ (2019年3月10日 22時) (レス) id: 2d7ec12d07 (このIDを非表示/違反報告)
いろ果(プロフ) - tsubakichanさん» ただ、今まで真面目だったのでお遊びで書こうとしておりまして…期待に添えなかったらすみません（汗）またお付き合いいただけるよう頑張りますp(^_^)q (2019年2月10日 20時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
いろ果(プロフ) - tsubakichanさん» tsubakichanさん、今までお付き合いいただきありがとうございました！そして沢山のコメント、本当に励みになりました(*´∀人)ハピエンをモットーとしているので、藤ヶ谷くんの片思いで終わらせたくなー、と(^^) (2019年2月10日 20時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
tsubakichan(プロフ) - 久々にドップリはまり込んでいた小説でしたので、終わっちゃう…いやだ！いやだ！寂しい！って、思っていたら、っん！？何やら期待できそうな終わり方だな〜って、続編あるんですね！☆太ちゃんが、どう攻めていくのか…凄く楽しみ！ありがとうございます。 (2019年2月10日 7時) (レス) id: 546497211d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いろ果
| 作成日時：2018年9月17日 21時
