貴方の香りに包まれて

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雪降る中、俺の震えが落ち着くまで、男の人はずっと背中を擦っていてくれた。



北「少しは落ち着いたか？」


藤「うん、これ温かいね。」


北「なら良かった。それ着てていいぞ。
なぁお前、こんな時間にそんな格好でどこに行く気？親とか心配してんじゃねぇ？」


藤「‥心配なんてしてない。」


北「なんで？」


藤「追い出された。」


北「なんで？」


藤「僕が悪い子だから。」


北「‥……そっか。でもな、お前は悪い子なんかじゃないぞ。」


藤「なんでそんなことわかるんだよ。」


北「目を見りゃわかるよ。優しい澄んだ目をしてるから‥お前。」


ぐぅ〜キュルキュル


藤「‥‥‥」


北「‥腹へってんのか？」


藤「へってない。」


ぐぅ〜〜


北「ぷっ‥」


藤「へってない。」


北「強がんなよ(笑)」


藤「強がってないもん。」


北「あ、そうだっ！
お前、肉まんとあんまんどっちが好き？あと梅おにぎりとたらこおにぎりと‥」


そう言いながら、手に持つコンビニのビニール袋を漁りはじめた。


ガサガサ


藤「‥たくさん買ったんだね」


北「そうなんだよ、買い過ぎちゃってさ。なあ、食べるの手伝ってくれない？」


藤「いいよ。」


北「ってお前裸足かよ！よしっ、とりあえず俺ん家に来い。おぶってやるから背中に乗れ。」


そういうとくるりと背中を俺の方へ向けた。


藤「背中にのる？」


どうしたらいいか分からなくて、しばらく背中を見つめていた。


北「おーい、足がぷるぷるしてきたぞ(笑)とりあえず首に手を回せ。」


藤「わかった。」


目の前の大きい背中にそっと近づき、ぎゅっと力を込めて首元を抱きしめる


藤「温かい……」


北「ぐぇっ！‥ごほっ、苦しいから優しく抱き着いてくれー。」


優しくってどの位だろうと少し力を弱めた。


藤「これでいい？」


北「ん、よいしょっと。お前軽いな〜」




広くて温かくて、

煙草とオイルと甘い匂いのする背中は、とても心地よかった。

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