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あれは雪が降る冬の夜だった。
男に酷い振られた方をされたと、
いつもより虫の居所が悪かった母に殴られ、
家を追い出された。
バシッ
母「クソガキっ、出て行け!」
藤「お母さん、ごめんなさいっ許して、許して下さい!!」
部屋から引きずり出され、
アパートの手すりに背中とお尻を打ち付けた。
ドンっ
藤「うっ‥っ!」
母「うるせぇんだよ、お前なんてさっさと消えろ。」
ガチャン
鍵を掛けられどうすることもできず、しばらくは玄関の前にうずくまっていた。
藤「うっ‥グスッ‥‥グスッ」
殴られた頬と蹴られた背中、
手すりにぶつけたお尻が
ジンジンと熱を帯びてきた。
部屋の中からは物を投げる音が聞こえ、
隣の家からはうるせぇと怒号が聞こえてくる。
( ここに居たら駄目だ‥)
薄い長袖に丈の短いズボン、
そして裸足という格好で家から追い出された俺は
寒さに震えながら、今日はどこに行こうかと歩きだす。
いつも追い出された時には、公園や誰も住んでいない廃墟、工場跡地などを転々としていた。
感覚のなくなってきた足を引きずるように歩き、角を曲がった時だった。
?「うわっ!」
突然の大声に驚き、
( 殴られるっ )
とっさに頭を庇いうずくまった。
藤「うぅ‥ごめんなさい、ごめんなさい、許して下さい。」
?「いや、お前‥」
藤「ごめんなさい。殴らないでっ」
?「大丈夫、殴らないから‥‥大丈夫だよ。大声出してごめんな。急に目の前子供がいてびっくりしただけだから‥な?ごめん。」
何かを察したのか、そう優しく言うと
震えながら泣く俺にフワリと
自分が着ていた黒いダウンジャケットをかけ、
?「怖かったよな、ごめんな。大丈夫だからな。」
何度も何度も、そう繰り返し言いながら抱き締め、背中をさすってくれた。
鼻にかかった優しい声
煙草と
オイルと
甘い香り
そして暖かい温もりに包まれた。
それが北山 宏光との最初の出会いだった。
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いろ果(プロフ) - あこさん» あこさん、初めまして♪コメント有難うございます!泣かせてしまい申し訳ありません(TT)でも、そう言ってもらえてとても嬉しいです!続編も亀更新ながら楽しんで書いていこうと思いますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです(´∀`*) (2019年3月11日 16時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - いろ果さまはじめまして。心に沁みる素敵なお話に泣きながら一気に読みました。続編も楽しみにしております! (2019年3月10日 22時) (レス) id: 2d7ec12d07 (このIDを非表示/違反報告)
いろ果(プロフ) - tsubakichanさん» ただ、今まで真面目だったのでお遊びで書こうとしておりまして…期待に添えなかったらすみません(汗)またお付き合いいただけるよう頑張りますp(^_^)q (2019年2月10日 20時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
いろ果(プロフ) - tsubakichanさん» tsubakichanさん、今までお付き合いいただきありがとうございました!そして沢山のコメント、本当に励みになりました(*´∀人)ハピエンをモットーとしているので、藤ヶ谷くんの片思いで終わらせたくなー、と(^^) (2019年2月10日 20時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
tsubakichan(プロフ) - 久々にドップリはまり込んでいた小説でしたので、終わっちゃう…いやだ!いやだ!寂しい!って、思っていたら、っん!?何やら期待できそうな終わり方だな〜って、続編あるんですね!☆太ちゃんが、どう攻めていくのか…凄く楽しみ!ありがとうございます。 (2019年2月10日 7時) (レス) id: 546497211d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いろ果 | 作成日時:2018年9月17日 21時