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「 あ 起きた? … Aおはよ 」
そう言って今日も彼は私の額に優しいキスを落とす。
彼の息がかかる瞬間が私はたまらなく好きだ。ちょっとこそばゆいけど。
今日でもう何回目の朝になるだろう。
数えきれない彼との朝の中で今日は特別な朝になる、と思う。
「 今日ついに結婚式やね、緊張するわ 〜 」
そう言って微笑んで伸びをする彼、いや私の旦那さん。
幸せだと思う。私には勿体ないくらい彼は素敵な人だ。
優しいしカッコいいし真面目だし仕事も出来るし、非の打ちどころがない。
周りからも祝福してもらえる。人並み以上に恵まれてるし幸せだと思う。
なら何で、なら何で、こんなに胸がざわついてるの?
「 だと思う 」。幸せだって断定できないのはなんでなの?
これがマリッジブルーってやつなんかじゃないことくらいは自分で分かってる。
幸せにしてくれる人、幸せな家庭、幸せな道、幸せな人生、幸せな私 … 。
「 …… A、どうかしたん?」
『 いや何でもないよ、私も緊張しちゃうな 〜〜 』
彼の関西弁で胸が苦しくなっちゃう私は駄目な人間ですか 、?
彼は、優しいしカッコいいし真面目だし仕事も出来るし、
「 俺らの節目の日やもんな … 頑張ろうな、ほらグータッチ! 」
差し出された私よりひとまわり大きい拳にそっと自分の手をかざす。
こんなこと考えてるのバレやしないかなって少しだけ不安に思いながら。
『 うん、結婚式成功させよーな!』
「 なんやそれ、お前のはエセ関西弁や 」
ひっど〜い、ごめんごめん嘘に決まっとるやん、ほんと?、ほんとほんと!、
幸せすぎるこの空間にいても、やっぱり、やっぱり、思っちゃうんだ。
これで本当に ” 正解 ” だったのかなって ― 。
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作者名:しいな | 作成日時:2022年1月19日 18時