かれのきもち。 satomiside ページ19
1日目は、あっという間に終わった握手会。
俺自身も緊張しちゃって上手く話せなかった。
きょうはしっかりしないと！って意気込んで席に座ってリスナーさんを待った。
1分ってやっぱり短くて、全然話し足りない。
俺的には1人と30分位ずつ話したいw
あっという間に、4時間が過ぎて、「次の方で最後です」ってスタッフさんに言われた。
入ってきたのは、セミロングの茶色い髪の小柄な女の子。多分大学生くらい。
相当緊張してるようで、下を見ながらギクシャクと歩いてくる。右手と右足一緒に出てるよ。
やっと目の前に来てくれたのに、視線が合わない。女の子の視線は差し入れの花にあった。
せっかくの1分間なのに勿体ない。
そう思って俺から手を取って声をかける。
驚いたように顔を上げたその子は、こないだショッピングモールで出会った女の子に似ている気がした。あの時は、裸眼だったからハッキリとは見えてなかったけど。
胸元のネームプレートにはAって書いてある。
Aさんと同じ名前。俺に少しでも興味を持ってあの実況者のAさんが来てくれたらいいのに。
なんて思って、来てくれたリスナーさんに失礼だって気持ちをかき消した。
「Aちゃんて言うんだ！
応援してくれてありがとう、俺の事これからも見ててね？」
この子には申し訳ないけど、顔もわからないAさんに重ねてみてしまう。
頭撫でるとか調子乗りすぎかな。
スタッフさんがAちゃんの肩を叩いて、Aちゃんは俺に向けてお礼を言って深々と頭を下げて、出ていこうとして………止まった。
彼女は鼻と口を抑えて、盛大にくしゃみをした。
「ひっ、ひっぴん！」
その独特なくしゃみに、俺は聞き覚えがあった。
そんなくしゃみをする、Aさんなんて1人しか居ない。
スタッフさんがAさんを出口に誘導する。それを俺は慌てて止めた。
「あ、待ってください！」
スタッフさんも、振り返ったAさんもぽかんとしてる。
「間違えてたら申し訳ないんですけど、ゲーム実況者のAさんですか！？」
「えっ……はい、そうです……」
さっきまでニコニコしながら喋ってたくせに、急に敬語になって、俺ちょっと恥ずかしいな。
会ってみたいと思っていたAさんに会えるなんて。
ここで挨拶だけして別れてしまったら一生後悔する気がする。
「ゆっくりお話しませんか？」って下手なナンパみたいな事言って、俺の控え室にAさんを案内した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1021人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「すとぷり」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瀬那 - すごく面白かったです！続きめっちゃ気になります！！更新頑張ってください！！ (2022年5月7日 3時) (
レス) @page32 id: ed562e894e (このIDを非表示/違反報告)
えり - 続きが気になる。。終わっちゃったんですか？ 更新待ってます！！頑張ってください！ (2020年3月10日 0時) (レス) id: 7e47c83357 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - 難しいかもしれませんが、とても面白い話なので更新待ってます！ (2020年2月6日 2時) (レス) id: 848a072277 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新楽しみにしています！ (2019年12月31日 23時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - おもしろいです！更新待ってます！ (2019年10月25日 7時) (レス) id: 61b7b452c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃにぽん | 作成日時：2018年11月14日 15時
