No body

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＃或る男の独白８ページ29

目指すはAの母親が
　入院中のあの病院。

　俺の予想では、
　今、あいつはあそこに･･･。

　病院に着く。

　廊下を走り看護士に注意されるのを無視し、
　病室に駆け込む。

「Aっ･･･！」

『えっ･･･。』

　俺の予想通り、Aはそこにいた。

　俺の顔を見て、困惑の表情を浮かべる。

『なんで、轟がここに･･･。
　誰から聞いたの、ここのこと。』

「それよりお前、どうしたんだ。
　前までは、そんな･･･。

　そんな個性、持っていなかっただろう？」

『･･･！
　こ、これは･･･。』

　Aの右腕から無数に伸びる“木”。

　俺が知るAはこんな個性持っていない。

「ずっと、その個性を隠してきたのか･･･？」

『･････････。』

「なんで、なんで言ってくれなかったんだ！
　お前が苦しんでる時は、
　いつだって助けてやりたかった！」

『･････････。』

「･･･お前は、いつもそうだ。
　他の人のことばかり考えて、
　いつも自分が我慢してばかり。」

『･･･轟は、特別だよ。』

「･･･？」

『ずっと、側に居たんだ。
　自分では、君のこと、
　誰より分かっているつもり。
　だから･･････。』