No body

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＃或る男の独白６ページ27

それは、俺たちがまだ小学生のころ。

「Aちゃん、相談ってなにかな。」

　･･･あいつが初めて失踪する前の日。

『冬美さん。
　実は、先日私の母が病気にかかりました。
　･･･原因不明の病気で、
　個性の暴走を促進させるものらしいです。
　母の個性は“木”。
　体から木を発生させる個性。
　今の母は、自分の個性で作られた木の中に
　取り込まれてしまっています。
　そして、その木は急速に腐敗を続けていて、
　私の個性でないとそれを止めることは
　出来ないそうです。』

「え･･･。」

『すいません。
　いきなりこんな重い話をしてしまって。』

「そ、そうじゃなくて。
　大丈夫なの、それって･･･。
　Aちゃんのお母さん、治るよね･･･？」

『･･･分からないです。
　なにしろ、原因不明なので･･･。
　それで、明日から三日間は母の療養のため、
　仕事を休ませて貰って良いですか？』

「そんなの、全然大丈夫だよ！
　というか、仕事辞めて貰っても良いんだよ？
　無理しなくて良いからね。」

『良いんです。
　あんまり誰かに迷惑かけたくないので。』

「迷惑だなんて、そんな･･･。
　そ、そうだ。
　焦凍には言った？
　焦凍だって、きっとそう言うから･･･！」

『そのこと、なんですけど･･･。
　焦凍君には、黙っていてください。』

「どうして･･･？」

『焦凍君だって、いや、焦凍君の方が。
　家族のことで辛い思いをしている･･･。
　それなのに、私が彼に相談してしまったら、
　きっと、彼は私を救おうとして、
　また新しいものを抱えることになる。
　そんなこと、絶対にダメだ。』

「でも、Aちゃんだって･･･。」

『良いんですよ。
　私は大丈夫です。
　今、彼の足枷になってしまったら、
　きっと私は後悔する。
　だから、これで良いんです。
　焦凍君には、隠していて下さい。』

「そんな･･･。」

『お願いします。』

「･･･分かった･･･。」

　これが、真実よ＿＿＿＿。

　姉さんはそう言う。

　じゃあ、俺は、どうすれば･･･。