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＃17th ページ18
久しぶりに通した制服の袖に、
何処か懐かしさを感じる。
それは、
しばらく制服を着ていなかったからか。
或いは･･･。
苦しい一カ月間であった。
毎日、食道や舌が切れ、血を吐き、
嘔吐感に苛まれた。
･･･それもこれも全て、或る男の所為である。
馬鹿みたいな話だ。
人を好きになるだけで、
こんなに辛くなるなんて。
玄関の呼び鈴が鳴る。
私は軽やかな足取りで、玄関に向かった。
ドアを開ける。
「おはよう、A。」
『おはよ、焦凍。』
「お、初めて名前で呼んだな。」
『いちいち言わないでよ、恥ずかしいな。
いいんじゃん、別に。』
「そうだな、じゃあ行こう。」
手が差し出される。
私はその手を握る。
或る日、その男は言った。
“人を好きになるって幸せだ”、と。
私はそうは思わない。
人を好きになることは、とても辛いことだ。
苦痛だ。
それでも。
好きだと言われた、あの瞬間が。
握られた手の温もりが。
その一つ一つが、私を満たしてゆくから。
あなたを好きになったことを、
私は絶対に、後悔しない。
誰も私を見つけられなかった世界で、
たった一人、私を好きだと言った彼を。
私は、きっと。
No body -fin-
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作者名：Libra/はたはた | 作成日時：2018年11月8日 22時
