こんなはずじゃ 中也side ページ36
キスしたあと、Aは今にも泣き出しそうな顔で、足早に中へ入っていってしまった。
何回か挑戦して、やっと叶った念願のAとのキス。だが、思っていたものとは大きくかけ離れていた。
しばらく一人で夜風に当たって、冷静になってきた時、俺はまず「なんてことをしたんだ」と後悔の念が襲ってきた。
《ち、中也はそんなこと、しないでしょ…??》
《やめて…!》
《中也!お願い、国民を巻き込まないで…!分かった、分かったから…っ…》
今頃、Aは酷く怯えているんだろう。俺がそうしたんだから…
別に、プロポーズに頷いて欲しかった訳じゃない。そりゃあ、頷いてくれたならそれはもう喜ぶが、俺のことを意識して欲しくて告げた言葉だった。
せめて、「考えてみる」の一言でも返してくれればと思っていたら…
《中也からの気持ちは嬉しいよ。だけど…私は、治と結婚しようと思う》
そこからは、もう冷静でいられなかった。
やっぱり舞踏会で何かあったんだろ?俺がいない間に、あいつはAの心に入り込んで、決断させた。
だから二人きりにするのは嫌だったんだ。
部屋で待っている時も、ずっとうろうろしていて、落ち着いていられなかった。
太宰と結婚すると聞いて、俺は焦った。そして、一番使いたくないと思っていた、契約を使っての脅しをしてしまった。
Aが望むまで待つと、決めていたのに…。
だが、先に取られた俺は、太宰から早く奪い返さなくてはと焦燥に駆られ、結果的にあいつを傷つけちまった。
なんとか繋ぎ止めたものの、今回Aが自分の側からいなくなる可能性を感じて、俺は恐怖を覚えた。
この先、太宰がAをそう簡単に諦めるのか…?
「(陸に居ては、いずれAを取られるかもしれない…)」
人間が手出しできない、海へ連れて行くべきか?そうすれば、仲間達は王である俺の嫁に手を出すこともないし、Aと安心して過ごせる。
愛を育むのは、海に行ってからでも遅くないだろう。そしてゆっくり時間をかけて、愛し合っていけばいい。
「(そうだよな…?A…)」
俺達が出会ったのは、この為だったんだ。なぜ今まで手前が差し出されなかったのかは知らねェが、どちらにせよ、生まれた時から運命は決まってたんだろうよ。
俺は力を回復するため、浜辺に降りて海水を飲んだ。
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時