稽古 ページ26
優雅な音楽に合わせて、足を運ぶ。
午前9時から始まった稽古は、お昼頃になるまで続いた。
「今日はこのくらいにしましょう」
『ありがとうございます』
「Aさんは上達が早いので教えがいがありますね」
『そんなこと…先生の教え方が上手なんです』
フョードル先生は、こうした舞踏会がある度にお城へお招きして稽古をつけてもらっている。
二人で広間のテーブルで休憩していると、治と中也が入口からひょっこりと顔を出しているのに気づいた。
「どなたですか?太宰王子と…」
『中也って言うんです。二人とも入っていいよ!』
「もう稽古は終わったのかい?」
『うん』
「A、何でそんな男と二人でいやがるンだ?手とか腰触りやがってよぉ…?」
先生の方を睨み付ける中也。そんな彼を見て、先生は上品に笑う。
「全く…またAさんは変なものを拾って来ましたね…」
『またって何ですか…!』
「ほら、小さい頃外で遊んだあとに、蛇の抜け殻とか持ってきたり…」
『あー!その話はもういいんです!』
「え、何ですかそれ。私の知らない話なんですケド」
「あぁ、太宰王子がまだAさんとお会いする前ですかね…?」
二人の間にピリついた空気が漂う。この前、治も稽古に誘ったのだけど、フョードル先生があんまり好きじゃないらしい…。それに、そもそも練習する必要がないくらい上手だから。
「なぁ、A。俺ともさっきのやってくれよ」
『え?ちょっと中也…』
中也が座っていた私の手を引っぱって広いところまで行く。
思わずよろけたが、中也が支えてくれた。もうすっかり、人間の足には慣れたみたいだ。体幹もしっかりしてるし。
「ほら、ちゃんと手回せよ」
『はいはい…って、中也踊ったことないでしょ?』
「はっ、俺は出来る男なんだ。さっきずっと見てたから楽勝だぜ」
「確かこうやって…」とか呟く中也。
見よう見まねで踊ってるくせに、案外筋がいいから、クスッと笑ってしまった。
『うまいね、中也。これなら舞踏会でモテモテになれるんじゃない?』
「俺が踊るのはAだけだ」
冗談で言ったつもりだったんだけど…。
至近距離で真剣に返されたから、何だか恥ずかしくなって下を向いた。
中也がもし王子だったら、とってもかっこよかったんだろうな…無意識にそんなことを考えた。
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時