欲 中也side ページ15
ベッドに倒れたAの頭を撫でていると、唐突に自分の中で欲が出てきた。
Aに、キスしたい。
人間の体になった俺は、人魚の時よりも格段に欲が強くなっていた。最初こそ、俺は彼女といられるだけで幸せだと感じていた。
だけど、時間が経てば経つほど、もっと触れたい。もっと近づきたい。そんな思いが溢れてくる。
Aの唇に自分のを重ねようとした。
…が、Aは俺の口を塞いだ。反射だったのかもしれねェが、俺の心はチクリと痛んだ。
「(…あの男はいいのに、俺は駄目なのか…?)」
もしそうなら、かなり落ち込むんだが…
目の前で色々説明してくれているAの顔をぼんやりと見ながら考える。
『…どうしたの?疲れちゃったなら、今日はもう休んだ方がいいんじゃ…』
心から心配するような瞳。
「あぁ、じゃあちょっと休むことにする。この体勢、なかなか慣れなくてな」
『椅子に座ったこともないんだもんね。うん、それがいいよ』
飲み物持ってくる、と言って部屋から出ていった彼女。
俺はソファと呼ばれるものにドサッと倒れ込んだ。あの優しさは誰にでもなのか、それとも俺だけなのか…。
あぁ、独り占めしたい。
そうは言っても、現状俺はこの世界について無知に等しい。Aのことだって、まだまだ知らないことが多いはずだ。
もっと色んなこと覚えて、早いとここの生活に慣れねェとな。
そうすればいずれ、俺がAを守れるようになる。
…今んとこ、世話を焼かれている側だが。
『お待たせ〜、あれ?寝ちゃった…?』
「起きてるぜ。悪ぃ、勝手に使って」
『全然いいよ。だって、ここは中也の部屋でもあるんでしょ?』
あぁ、そうだった。
『ごめんね、これワインじゃなくてジュースなんだ。でも美味しいと思う』
「ワ、イン…?」
『中也が人魚の時に、私がもって行ったもの』
「…あぁ、あれか!あれはうまかったぜ!」
『お、やっぱり気に入ってたんだ!今度また用意するね』
「Aは飲まねェのか?」
『私はまだ17歳だから飲めないの。あと一年かな』
「そうか…じゃあ一年経ったら一緒に飲もうぜ!」
『一年後…そうだね』
ジュースを注ぐAの表情が、少し曇った気がした。
『(一年後、私はどこに嫁いでるんだろう…)』
「(A…?)」
ーーー
この世界はお酒飲めるの18歳からです!
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時