娘の番 父親side ページ41
王国の海は、人魚と王家の秘密の約束により守られてきた。
王家の人間が人魚へ身を捧げることにより、国の海は数百年の間、あらゆる災害から守られる。
何代か前の王家も自ら望み、人魚と海へ身を捧げたという。
人魚へ変化すると数百年寿命が延びる。
タイミングが良ければ、身を捧げる必要が無い代があるのだ。
しかし、娘は違った。
娘の時に、回ってきてしまった。
時が、来てしまったーーー
娘が人魚を見たと言った時は、焦った。
引き合わされるかのように、娘は人魚と出会ってしまったようだ。しかし、私は何も言わなかった。
もしかしたら、ただの偶然かも知れないと…
ーーー
城を1ヶ月間留守にしていた時があった。周辺の国との貿易や、コミュニケーションのために。
母親は何年か前に他界していて、私も王としての仕事が忙しい。娘には寂しい思いをさせている。
しかし、幸いなことにたくさんの国から“娘を貰いたい”と言われている。
私は、是非“太宰王子”を娘の結婚相手としたい。
彼は、あらゆる面において優秀で、娘のところへよく遊びに来てくれている。何度も直接“娘を下さい“と言われている。本当に愛してくれているのだと、信頼している。娘が彼といるときの様子を見ても、問題無いだろう。
それに、彼は娘を人魚から守ると約束してくれた。大事な一人娘を海の怪物なんぞに渡したくなかった。
ーーー
1ヶ月ぶりに城へ帰ると、見知らぬ青年がいた。
娘ととても親しげにしているようで、顔つきも美しかった。
“お父様、彼は中也って言うの。
私、前に人魚を見たって言ったでしょ?
それが彼なの!人間になって、陸に上がってきたの!“
一瞬、心臓が止まった。
娘は喜々として、その人魚のことを私に語る。
見ると、彼は娘のことが好きなようだった。
なんということだ…。
彼は、海からの使徒なのか。
かつての身を捧げた先祖たちが、海の中でどんな人生を歩んでいったのかは分からない。
が、人魚になれば二度と陸へは上がれず、娘とは会えなくなる。
王国の海のために生贄じみたことをさせるよりも、娘には、幸せになって欲しかったのだ。
きっとこの人魚は、何年経っても、新しい嫁を寄越さないから、娘を迎えに来たのだ。
彼が、そんな思惑を抱えているのかは分からないが、これは運命なのだろうーーー
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時