夢の国で働く素敵なキャスト達の物語 (ページ26)

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｢なんでわたくしの同僚はこんなにも……こんなにも……ファッションセンスがないんですの！？｣

半分狂気に陥っているスプレンドラは殻にもなくその場にうずくまった。

彼女は最近知り合ったミカとショッピングに行こうとした。

行こうとしたのだ。

待ち合わせのアメリカンウォーターフロント。

夜のこの街はオシャレな人が多い。

しかし、そんなオシャレな街に場違いなある少女が走ってきた。

スプレンドラは首を振ってそのまま立ち去ろうとした。

だが彼女はすぐそばに来ていてスプレンドラの腕をぎゅうと抱きしめた。

彼女は羞恥と憎悪に包まれた。

すれ違う人全てが2人を鼻でわらう。

もしスプレンドラが彼らだったら同じように鼻で笑っていただろう。

ミカはなにやら大声でペラペラ話している。

落ち着け……落ち着け

そんなことを考えて震えながらミカを掴み適当なお店に入った。

お店につくとミカになんでもいいから気に入ったの持ってきなさいと伝え遠目で見守る。

しばらくすると何着か持ってきてスプレンドラに差し出す。

しかし彼女が持ってきたものはなんとも言えない色合いのパンツや【トーキョーディズニーシー】と書いてあるTシャツだった。

そして冒頭へ戻る。

｢ううっ……どうしてなの……なぜ……｣

店員や他の客もスプレンドラをみる。

焦りながら彼女を慰める。

｢ごめん！スプレンドラ……そのなんか……こういう服に愛着があるから｣

言葉をつまらせながらスプレンドラの気に入る返答だと確信して出たものだ。

しばらくそのままだったスプレンドラだったが落ち着いたように起き上がりしたからミカを見つめる。

｢わたくしもごめんなさい…こんなことになって……それに失礼なこと言ってしまったと思うわ｣

疲労困憊でいつもみたいな高い声ではなかった。

それに察したようにはっとして俯いた。

｢ごめん本当はへんなのを持っていけばスプレンドラが1番似合うのを選んでくれると思ったんだ｣

ミカの顔は申し訳ないという思いがにじみ出ていた。

スプレンドラの胸の中にあった悪い感情はどこかに行ってしまった。

一回ため息をついてセンスの彼らもない同僚を見つめる。

そして彼女のもつ最高の笑顔を見せてから

｢いいわよ？いらっしゃい｣

と店の中を歩き出した。

途中で手でおいでというサインをたしミカもそれについて行く。

結果新しいワイシャツと若干レース模様があしらわれたガウチョを購入して店をあとにした。