囚われし柱壱 (ページ2)

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第二話ページ2

そして転機が訪れたのは15年前のある冬の夜の事でした。

狭い境内で祈祷をしていた時、

あの日の鉄の匂いが私の鼻を掠めました。

何が起きているのか外を見ようにも窓などないこの境内ではどうすることも出来ず、

私は只只じっと神に祈り続けました。

しかし、

突然私のいる離の鍵がガシャンと音を立てて落ち

開かれることのなかった扉が勢いよく空いたのです。

初めて来たお客人は酷く鉄の匂いがしました。

その男は私を見つけると訝しげに口を開きました。

「何故こんな所にこどもがいる。」

その男はスタスタと歩いてくると私の顎を掴み、私と強制的に目を合わせました。

「綺麗な顔をした子供だな。お前、名はなんと言う。」

酷く威圧的な赤い目が特徴的な男は私にそう問いかけました。

『、、Aと申しますが』

すると男はそうかとだけ言うと、ぱっと手を離し踵を返ていきました。

私がほっとしていると、男は急に立ち止まりにこりと笑いかけこう言いました。

「もう少し成長したらお前を私の部下にしてやろう。それまで死ぬなよ、A。」

男はそれだけを言い残し私の前から消えました。

24歳になった今も、私はその言葉が忘れられないのです。