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しばらく走っていると、いとちゃんの言った通りすぐに智司の後ろ姿が見えてきた。
貴「智司！！！！」
片「…A…」
振り返る智司は、やっぱり全身傷だらけ。
貴「…はぁ…はぁ…疲れた…。」
久しぶりに走りすぎた…頭痛い…。
片「なんか用か？」
貴「なんか用か？…じゃないでしょ！…そんな傷だらけの体して！！…もぉ…馬鹿！！」
思いっきり肩を叩くと、智司は少し顔をしかめる。
片「いてぇな…」
貴「…心配……した」
ヤバい。ちょっと泣きそう。
片「…あぁ…すまん」
智司は少し微笑むと、私の頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。
貴「……いとちゃんとタイマンはったんでしょ？…開久の頭がなにやってんだか…」
片「…やめたよ。」
貴「えっ？」
片「…開久は相良に譲った。」
貴「へぇ…」
相良くんが…開久の頭かぁ…。
…うん。似合わん。似合わんぞチワワ←
片「…なんのために頭はって…喧嘩してんのか分かんなくなった…。…まぁ、あいつの方がよっぽど俺より向いてんだろうよ…。」
そう言って遠くを見つめる智司の顔は…どこか悲しげだった。
貴「なるほどねぇ…。」
鞄をブラブラ揺らしながら、自分の足先を見る。
片「Aは……なんのためにあいつらと軟高で頭はってんだ？」
智司の言葉を聞いて、自然に…三橋さんといとちゃんの顔が浮かぶ。
貴「…うーん…別に、頭はりたくてはったわけじゃないしね…。」
そう。三橋さんといとちゃんが初日から屋上で暴れたから←
私の普通女子高生ライフはいきなり幕を閉じたのである。
片「そうなのか…」
貴「てゆーかそもそも？？？この間も言ったけど！私、軟高では喧嘩やめようと思ってたんだからね！？」
片「…でも…結局やってんじゃねぇか。」
貴「…仕方なくですよ！仕方なく！！！…まぁ…。強いて言うなら…。」
片「…」
貴「守りたい人が出来すぎた…から？」
理子ちゃんに佐川君。京子ちゃんに明美ちゃん。３組のクラスメイト。
昔は自分の身と、自由を確保するために使っていたこの拳…。
今は誰かを守るために使えている自信がある。
片「…なるほどな」
貴「あ！！」
片「…なんだよ」
貴「…やっと…私の顔見てくれた！」
久しぶりに真っ直ぐ見た智司の顔は、どこかスッキリしていた。
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作者名：ひんやりだんご | 作成日時：2019年1月13日 13時
