小悪魔プリンス (ページ26)

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「皆で飲みに出ない？」

同僚に誘われ、ゆっくりしたかったんだけどな。と、言葉に詰まる。

k『あの、実は。先輩ちょっと……体調よくないみたいなんですよ』

「あ、そうなの？悪い」

「声かけてくれてありがと。また明日」

・

・

・

「ありがと」

k『何がですか？』

荷物を片づけながら、

「さっき。断るのヘタで、いつも我慢して行っちゃうから。だから、ありが」

全部言い終わらないうちに。

彼の腕がまわる。

k『俺が先輩と居たかっただけです。
勝手に断っちゃいました』

ビジネスホテルのシングルルーム。
もう少し広くてもいいのに。と、いつも思う。

その狭い空間で、バランスを崩されて。
ベッドに倒れる。

「どしたの」

k『あの………もっと、触ってもいいですか』

「だから。そうゆうのは、」

瞬きをした間に、唇が触れて。

もどかしそうにジャケットを脱ぐと、ネクタイを緩めながら。

もう1度触れた唇が、薄く開いて。
顎を引かれる。

その表情が、知らない誰かみたいで。

身体を、何かが伝った。

スカートのウエストから、ワイシャツを引っ張ると。

そこから、遠慮がちに手を入れて。

k『あの………嫌いになりせんか』

そんなコトを聞く。

「どうして、」

　

k『うまくできるか……分からないから』

彼だから。

惹かれたんだと思う。

彼にだから。

「そんなコト。思わない」

k『ほんとですか』

「………もしかして。
ずっとそれ、考えてたの？」

小さく頷いて。
もっと小さく、
はい。って言った。

「………、」

思わず、彼に手を伸ばして。

「あたしだけ？」

細い胸に、顔を埋める。

k『え？』

「あたしだけが、触れたいと思ったり、触れて欲しいと思ったり。
いろんな欲がぐるぐるして、もどかしかったのあたしだけ？」

彼の、大きな。優しい手が。頭を撫でて。

k『顔、見せて？』

柔らかな、甘い声が。

耳にかかる。

言ってしまってから、なんとなく。
恥ずかしくなって。

ゆっくり顔を上げた。

k『先輩。今のずるい』

そう言った彼の目が、

いつもとは

違ってみえた