小悪魔プリンス (ページ23)

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23. ページ23

「橘さん、これ。どうしたらいいですか？」

「あー……動き悪いんでしたね」

広い年齢層に使えると思ったコートが、思いの外動かない。

お客様を眺めながら、どうしたものかと考える。

「あの人店員かな？」

「名札付いてるよね」

「イケメンなんだけど」

「近くに行ってみよ(笑)」

女の子。という言葉が適切な2人が話してるのは、きっとゆうた君のコトだ。

くるりと店内を見渡すと、紳士の売り場で、
商品整理をしている彼をみつけた。

「少し年齢層の高い方を意識して、ディスプレイ作ってみましょうか」

答えながら、口もとが緩むのを堪えた。

だって。

そのイケメン。

アタシノだから。

バックルームに戻る途中で、それとなく彼の方に目をやる。

さっきの女の子。達と、楽しそうに会話をしているようだった。

そんな様子を横目に歩いていると、お客様に声をかけられた。

「あのぉ、ネクタイなんですけど。」

「いらっしゃいませ。こちらになります」

「んー。どれが似合います？
カジュアルな席に呼ばれたんで、せっかくだから新調しようと思って(笑)」

「そうなんですね。
お客様のお好きな色はなんですか？」

「グリーンかな」

「そうですか。でしたら……」

・

・

・

k『も〜、遅いですよ』

「はぁ？」

k『え、あ。すみませんでした……』

そう言えば。

彼とヘルプに回るのは、久しぶりだ。

「成長した？」

k『え？あ、しました。めちゃめちゃしましたっ。ずっと先輩のこと考えてたんで』

「や、意味が分からない」

k『え？成長の話ですよ。
先輩への愛ですよね？』

「………、」

1発やっちゃっても許される流れだとは思うけど。

なぜか。

吹き出してる自分がいた。

「ぶはっ(笑)」

k『先輩？どうしました？』

「ん？」

k『先輩今笑いましたよね？
先輩がそんなに笑うことあります？』

真面目な顔で、あたしをのぞき込む。

「なにそれ。あたしだって笑うんですけど。
鬼かっつーの」

今度は、ぶふって笑ったゆうた君が、

k『や、鬼ではないです(笑)』

って、可笑しそうに笑う。

「ん」

k『え、いんですか』

「寒いから早くしてよ」
　

彼へ、伸ばした手と。

彼が、掴んだ手が。

強く

引きあった