小悪魔プリンス (ページ22)

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22.　ーanother sideーページ22

「青年がまりに近づいて来た時、またかって思った。
皆外見で寄って来て、敵わないと悪く言い出す。馬鹿なの。みーんなばか。
けどさ、青年めげなかったじゃん。
相手にされないのに、先輩先輩って毎日ついて回って。
この子はばかじゃないかも。って思ったら、なんとかしてやりたくなった」

ミカ先輩は、俺と同じくらい。
先輩の事がすきなんだと思った。

もしかすると、俺よりもっと、先輩の事が大切なんだと思う。

「青年が言ったまりの彼氏？それ違うよ？」

k『え？』

「まぁ……昔はノーマルな関係じゃなかったと思うけど。
今は。青年と清い交際してるんでしょ？
頭なでたくらいでもやもやするな。
岸くんまりをオトシたんだよ？
自信持てって。
何かあったら、あたしがいつでも援護する」

かっこよくそう言うと、あははって笑いだした。

「岸くんでよかった(笑)」

k『え？(笑)』

「うん。よかった(笑)」

k『だから。何がですか(笑)』

にこにこしていたミカ先輩が、

「あっ」

大きな声を出した。

k『どうしました？』

ガラスの外を指すと、

「まりじゃない？」

その声に、外を振り向くと。

きれいな姿勢で歩く、先輩をみつけた。

「何してんの。行ってこい」

k『あ、はいっ。行ってきます！』

立ち上がってコートとカバンを掴むと、ガラスの向こうの先輩を探す。

「さっきの話っ、まりにしなさいよっ」

背中に、ミカ先輩の声を聞きながら、
振り返って笑顔を返す。

k『はいっ(笑)』

先輩の過去が、どうだったとしても。

今。俺の見てる先輩は、何も変わらない。

きれいで、かっこよくて、穏やかな。

憧れだし、だいすきな先輩。

そうだよ。

あの日、先輩は。
俺をすきだと言った。言ってくれた。

それを信じられないでいた俺は、なんて愚かなんだろう。

バス停に向かう、先輩の後姿を。

真っ直ぐ見て追いかける。

ポケットに入れたままの細い腕を、
大事に掴む。

「っ、」

驚いて振り向いた先輩が、俺を見て。

柔らかな、笑顔を見せた