act (ページ7)

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1週間は、あっと言う間に過ぎた。

もちろん。式に立ち会わせてもらった事はまだない。

あたしと櫻井さんは、同じ先輩について動くことになったから、毎日一緒にいる。

その先輩の、スタイルも、立ち振る舞いも、話し方も。
全てが、すごくきれいで。

いつか、あの人みたいになりたい。と、日々思っている。

s『今日飯行かない？』

更衣室に向かう途中、

「はい。行きます」

こうして、週に1度か2度。

櫻井さんがご飯に誘ってくれる。

s『じゃあ、後で』

いつも、向かいにある本屋さんで待ち合わせる。

そのまましばらく、結婚情報誌を見たりして、それから、近くのお店へ向かう。

s『お疲れー』

グラスを合わせるのも、もうだいぶ慣れた。

お酒が飲めないあたしのグラスは、いつも烏龍茶だけど。

s『五十嵐さんはさ、結婚したい？』

突然。そんな事を聞かれて。

「……、」

言葉に詰まる。

s『ごめん。変な質問だった？(笑)』

彼の笑い方には、いくつかパターンがあるけど。

あたしは、どれもすきだと思う。

「うぅん。でもちょっと…
恥ずかしい事言ってもいいですか？」

s『何？』

テーブルに腕を乗せて、少し前のめりになった。

「あたし、お嫁さんになるのが夢なんです(笑)」

一瞬。動きが止まって、ぱちぱちと瞬きをした彼が。

s『いいじゃん。恥ずかしくなんかないよ』

笑わないで言った。

「この歳でそんな事言ってる人、いないだろうなって(笑)」

s『確かに(笑)
でもさ、五十嵐さんらしいと言うか……
あ、俺に"らしい"とか言われたくないか。
なんとなくだけど。
女の子皆の夢なんじゃないかな』

真面目な顔をして、そう続けた。

女の子の、夢。

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あたしには、父がいなかった。

だからなのか。

物心がついた頃。
母は、お嫁さんになったのだろうか。

そんな事を思った。

CMで見る様な、白いドレスを着て。

父であったはずの人と、誓ったのだろうか。

でも、なんとなく。

それは聞けなかったし、聞かない方がいいような気がした。

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「そうかもしれないですね。
だって、あんなきらきらしたドレス。
女の子なら、着てみたいですよね」

s『え、そこ？(笑)』

くるくると変わる、彼の表情も。

すきだと思った