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「これから1週間。
各班に分かれて、研修が始まります。
配った資料の中に、皆の名前が載った名簿があるから。
名前と顔は、直に覚えてください。
じゃあ、名前呼ぶから。
呼ばれたら担当の所へ。」
タイトなスーツを着た、年齢は…分からないけど、清潔そうなその人が、つらつらと話した。
「阿部さん、五十嵐さん、櫻井さん、二宮さん、渡辺さん、は僕です。」
「あ、あたしだ」
女性が多いと勝手に思っていたこの会社には、
男子が半数ほども居て、驚いた。
資料と、やたら大きいペンケースを抱えて、マイクを持つ彼のテーブルへ移動する。
s『あ、れ？』
顔を覗きこまれて、驚いてペンを落とす。
そのペンを拾いながら、
s『はい、これ。
あの子だよね？ほら、面接の時の…』
「あっ、」
あの時。
部屋に入る直前に、もらった笑顔に。
勇気をもらって。
緊張することなく、前を向けたのを思い出した。
終わってからお礼を言いたかったけど、
部屋を出てきた時、彼の姿はそこになかった。
彼と、この会社の中で会える事を願いながら、帰ったのを思い出した。
s『え、と。何さん？』
名簿の用紙を見せながら、
「これです。五十嵐ひなこと言います。
よろしくお願いします」
頭を下げると、
s『五十嵐さんね。俺…あ、僕はこれね。
櫻井翔と言います。よろしくお願いします』
同じように、頭を下げた。
「櫻井…翔さん、」
昔から、人の名前を覚えるのは苦手じゃない。
その人の顔はもちろん、特徴をみつけて、すぐに覚えられた。
集まってきた他の人とも、同じように自己紹介をして。
最後に来た眼鏡の彼が、
n『あ、さっきの。ちゃんと返すから。』
って、付け足した。
「ほんとにいいですから」
って言うと、
n『うん。でも待ってて？』
って。
すごく大事な物みたいに言うから。
「はい、待ってます(笑)」
って、笑ってしまった。
初日の研修を終えて、部屋に戻ると。
先に戻ってた渡辺さんが、
「おかえりー」
って、出迎えてくれた。
今回の班は、女子は2人で。
この2人部屋で、彼女と過ごすことになる。
「うん、ただいま」
おかえり。って、言われたのも。
ただいま。って、返したのも。
いつぶりだろう。
温かな。
くすぐったいような。
そんな、気持ちをもらえた
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作者名：とあ | 作成日時：2018年9月20日 21時
