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s『ご飯行かない？』
いつもの様に、更衣室に向かう途中。
櫻井さんが声をかけてくれる。
「今日…ですか？」
s『予定あった？』
予定……と言うか。
何時に。とか。どこで。とか。
そうゆう、明確な約束はしていないし、就業時間がとっくに過ぎている今も、連絡は入っていない。
「え…と、」
s『二宮君？』
「えっ、あ…うん、」
突然出された名前に、動揺してしまう。
s『そっか』
「あのっ、でも」
s『でも？』
「……いえ。なんでもな、」
ぐいっと腕をひかれると、
男子更衣室。
と書かれたドアを開けて。
そこへ、押しこまれた。
「えっ？櫻井さっ、」
きれいな手で口を塞ぐと、
s『しーっ。すぐ終わるから』
って、耳元で囁いて。
口を塞いでた手を、離してくれた。
「……、」
何か、言いたかったけど。
言おうと思ったけど。
何を言ったらいいのか。
いろいろ解らなすぎて、声が出なかった。
離した手が、頬に触れると。
櫻井さんの顔が、近づいて。
思わず。目をつむった。
こんな時に。
彼を思い出すのは、
オカシナ事かもしれないけど。
唇に、触れる感覚とか。
温度とか。
息の仕方も、全部。
彼とは違って。
何より。
そんな事を、冷静に考えてる自分に。
驚いていた。
頬に触れていた手が、首を伝って。
もう片方の手が、ワイシャツの裾から入った時、
「やめてっ、」
声が出た。
s『やめると思う？』
片方の手で、あたしの腕を抑えると、
ワイシャツをまくり上げて、背中を伝う。
「やだっ…てば…、」
背中を少しずつ上がる指が、ホックにかかって。
その瞬間。
よく解らない感情が、一気にこみ上げて。
涙がこぼれた。
「…くん、」
解けたホックの隙間から、手が回って。
「にのみやくんっ、」
自分でも、驚く程。
大きな声が出た。
ふっ。って、鼻で笑った彼が、
s『とっくに帰ったよ？(笑)』
そう、言った時。
n『ナニしてくれてんの？』
彼の後ろで、声がした。
n『とりあえず。その子から離れて？』
固まっていた櫻井さんが、ゆっくり下がると。
慌てて更衣室を出て行った。
へたん。と。
その場に、崩れると。
溢れてくる涙を。
ひっしでぬぐった
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作者名：とあ | 作成日時：2018年9月20日 21時
