ハツコイー2ー (ページ3)

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「二宮くん、いますか？」

レジに入ってると、女の人に。
久しぶりにそう声をかけられた。

「ちょ、ちょっとお待ちください」

さっきまで、そこの棚に居たのに。

カウンターに立札を出して、店内を探す。

「二宮くん、」

コミックのコーナーに姿をみつけて、遠慮がちに声をかけた。

n『なに？』

「お客さん、来てるよ」

あからさまに、表情が曇って。

n『わかった。』

棚に本を戻した。

見たくなんかなかったけど、今はレジの時間で。

どうしたって、カウンターから、入口の2人が視界に入る。

　

n『ココには来ないでって言ったじゃん。』

「そんなに怒らないでよ(笑)
だってつかまらないじゃない。」

n『帰って。』

「待ってるからね。」

n『分かってるよ。』

何度かふり返って、手を振った彼女を。

彼はもう、見てはいなかった。

その日。

打刻して事務所に入ると、彼の姿はなかった。

きっと。

待ってるから。
と言った、あの人のトコロへ。

行ったんだ。

あたしに、そんな権利は何一つないけど。

彼は今、あの人と居て。

何をしているのかを思うと、胸が痛くて、
喉の奥が熱くなった。

苦しくて、息が上手くできなくて、涙がこぼれそうになるから、上を向いて歩いた。

ーハツコイは、実らないー

誰かが言った言葉を、思い出して。

大きなため息と、耐えきれなくなった涙が。

溢れた。

アナタに会って、

アナタと言葉を交わして、

アナタに触れて。

いつの間にか、意識がアナタに向いて。

アナタにしか、向かなくなって。

アナタしか、見えないのに。

こんな思いをするなら。

アナタになんか、会わなければよかった。

そう、思うのに。

浮かぶのは、アナタの顔ばかり。

笑いかけてもらう度、心がはねて。

手を繋ぐ度、すきが増えて。

だめだ。

ごめんね。

どうしたって。

二宮くんがすき。

仕方ないじゃない。

あの日。

アナタを。

みつけてしまったんだから。

　

実らなくてもいい。

アナタが笑うなら、

それでじゅうぶん