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k『もう、来ないと思った。』
玄関を開けた二宮さんが、表情を崩した。
k『どうぞ。』
カップを手渡しながら、
k『話してもい？』
そんなコトを聞いて、小さく咳払いをすると、
k『ごめんね。』
って、弱く笑った。
k『声がね、似てるの。声だけ聞いたら、間違うくらい。』
彼が、何を言おうとしているのか。
なんとなく、想像ができた。
k『あの日も、頭が痛かった。
彼女がいなくなって、そうゆう日が増えたの。したら、いないはずの彼女の声がね。したの。』
カップに視線を落としながら、淡々と続ける。
k『あなたをみつけた日から。頭痛がなくなって。だから、あなたの声で、彼女をみてた。』
k『ココに。居てくれればいいなって。
あなたを、欲しくなっちゃって。
でもそれは、俺の自己満足で、欲で。
その欲が、あなたを縛りつけて。
戻れなくなりそうだった。ごめんね。』
ゆっくりこっちを見ると、
k『それから。ありがと。』
小さく、笑った。
彼が、抱えこんでいたモノも。
ソコから、身動きできないでいるコトも。
あたしには、理解できる様な気がした。
「解る、気がします」
k『ん？』
「あたしも。二宮さんと。似ているから」
ぱちぱちと瞬きをすると、カップを置いて。
目の前に座り直した。
k『聞いてもい？』
他人に話すのは、初めてだった。
個人の気持ちは、他人には理解してもらえないし、してほしいとも思わなかったから。
だけど。彼になら。
話してもいい気がした。
解ってもらいたいのでも、共感してもらいたいのでもない。
ずっと抱えていたモノを、下ろしたいと思った。
「人を。殺したんです」
じっと見ていた彼が、手を握った。
しっかりと、痕が残りそうな程強く。
「大切だったから」
k『うん。』
「だから。人に取られるくらいなら、って」
k『うん。』
「でも。うまくできませんでした。
残ってるんです。ココロなのか、頭なのか。身体のどこかに、ずっとその人が居て。毎日のどこかで、思い出してしまう」
k『……そうだね。』
「いっその事。本当に殺してしまえばよかった。それで、自分も一緒にしん、」
突然、ダンっ。と音がして、部屋のドアが開いた。
それと同時に、
r『あほかっ！』
永瀬くんの、大きな声が響いた
続く (更新停止中)
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作者名：とあ | 作成日時：2019年5月7日 19時
