raison d'etre (ページ13)

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この容姿だからさ、はっきり言って女の子には困らない。

黙ってても寄って来るし。

けど、だめなんよ。もう。

他の誰かじゃ、アナタの代わりにはならない。

もったいないよなー可愛い子たくさんおるのに。

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r『はい。永瀬です』

彼女から電話が来たのは、初めてだった。

見るともなく見てたTVを消して、

「………、」

受話器の向こうの、彼女の声を待つ。

r『どうした？』

待ちきれずに声をかけると、

「あいたい、」

思ってもなかった言葉に、脈が早くなる。

r『どこ？今どこにいんの？』

放ったまんまのリュックをつかむと、部屋を出た。

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・

r『ごめん、遅なった』

彼女が、泣いてる様に見えた。

r『何かされたんやろ(笑)』

だから。
わざと笑ってみせたのに。

子供みたいに抱きついた彼女の、腕が震えていた。

r『どうしたの』

いつもより小さな彼女の背中を撫でながら、出来るコトを探す。

「別に……いいと思ったの」

r『ん？』

「でも、永瀬くんが……
泣くかもしれないなって、」

何の話なのか、考えながら。

r『うん』

「そしたら、嫌だなって思っちゃって」

r『うん』

「いらなかったのに、」

r『ん？』

彼女のために出来るコトなんて。
ないのかもしれない。

「匂い、」

r『におい？』

「永瀬くんの、匂い」

胸に顔をつけたまま、回した腕に力がこもる。

r『おちついた？』

「ん、」

この人に、笑ってほしいと思った。

俺の知ってる彼女は、いつも、どこか、
遠くを見ていて。

もしかすると。

泣いていたのかもしれない。

r『ココにいようか？』

「ありがとう」

俺をすきになってくれなくてもいいよ。

今、ココに。
俺が居るコトで、アナタが泣かなくてすむなら。

それが、俺の存在る意味だと思うから。

アナタと、ただ、眠るだけ。

そんな日がくるなんて。

なんか、嬉しい。

例えばそれが、誰かの代わり。
だとしても。