7. ページ7
「おも………」
2つめの書店から出て、エレベーターを待っている間。
紙袋が重たすぎて、思わず声がもれた。
『手伝います。』
急に片手が軽くなって、隣に並んだ黒いハットを見上げる。
「え、あ、大丈夫ですからっ」
『あっ。変なヤツじゃないことを証明したいんですけど(笑)
単純に大変そうだったから……ごめんなさい。』
開いたエレベーターに乗り込むと、1階のボタンを押した後姿を眺める。
ラインの細い、華奢な男の子。
シンプルな服を、さらっと着ている感じで。
控えめに笑った顔から、悪い印象はしなかった。
「あ、いえ。変なヤツだとは……
ありがとうございます。助かりました」
ポーンと、こもった様な音がして、扉が開く。
『遠くまで行かれるんですか？』
「いえ。タクシーに乗るので」
『じゃあ、そこまで。』
反対側の道路に停まっている、緑のラインの入ったタクシーを指先すと、
『そっちも。』
もう片方の紙袋を、すっと持ち上げて、
すたすたと歩き出した。
「え、」
慌てて彼の後を歩く。
タクシーのドアが開くと、
『じゃあ、お気をつけて。』
ぺこっと頭を下げると、来た道を戻って行ってしまった。
・
・
・
k『え、いつも？』
「うん」
帰って来た彼が、紙袋をのぞいて。
k『え、これ1人で持てる？』
って聞きながら、自分で持ち上げてみたりしている。
「あ、今日ね。親切な人がいて。
タクシーまで持ってくれた」
k『待って？それ何かやだ』
すっと隣に座ると、
k『だってそれ男でしょ？どんな人？』
「えー？普通の人だったけど」
言わなければよかった。って。
少し後悔した。
k『ふ〜ん。次は一緒に行こ？』
「うん」
k『あ”〜』
突然立ち上がった彼が、頭を垂れた。
「なに、」
k『ぎゅうってしたいけど。
俺今日めちゃめちゃ汗かいたんすよ。
あっ、一緒にお風呂入りましょう♡』
「………、」
きらきらした眼で、手を出して待っている。
「………(笑)」
伸ばされた手をひいて、立ち上がると。
彼を抱きしめた。
k『くさくない？』
「んー………ゆうた君のにおい」
はにかむ様に笑った彼を見て。
どこかの知らない男の子を
思い出した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とあ(プロフ) - ユウさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。いただいた感想を励みに更新します (2019年4月1日 14時) (
レス) id: 86c2dc062d (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 物語の空気感というか時間の流れ方がとても気持ちよくて一気に引き込まれました！岸くんの後輩感と男の子感と男の人感が可愛くて優しくて素敵な作品だなと思いました！！！今後の2人がとても楽しみです！ (2019年3月31日 20時) (レス) id: 111293a5e5 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - いっくさん» ありがとうございます。気ままに更新ですが、見ていただけて嬉しいです (2019年2月12日 7時) (レス) id: 86c2dc062d (このIDを非表示/違反報告)
いっく(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。岸くん大好きなので勝手にキュンキュンしちゃってます！ (2019年2月11日 8時) (レス) id: c15603ea35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とあ | 作成日時：2019年2月7日 22時
