3. ーanother sideー ページ3
「もう春だね」
ショッピングモールを歩きながら、先輩が言った。
k『そっすね。ディスプレイの色が柔らかいですね』
お互いの公休は、出かけたついでにデパートやショッピングモールを観察するのが、定番になっている。
なんなら、こっちが目的ってくらいだけど。
「ママー」
子供の声と、「ひゃっ、」って先輩の声が、同時に聞こえた。
見ると、先輩の足に小さな男の子がくっついている。
k『え？まま？』
すとん。としゃがんで、男の子の目線に合わせた先輩が、
「びっくりした？ママじゃなかったね(笑)
お名前言える？」
ゆっくりと、彼に話す。
「れん。やまとれん」
k『お〜、名前言えましたね。
れん君だって(笑)』
「れん君、ママ探そっか」
小さすぎる手をとると、どこかなぁ？
って、サービスカウンターへ向かう。
その、後姿を。
もやもやした気持ちで眺めた。
これが、何て感情なのか分からないけど。
心が痒いと言うか、泣きたくなると言うか。
何でだろう。
この場から、逃げ出したくなった。
・
・
・
k『俺、おかしいこと言ったのかな』
「……なに？」
薄暗くなった帰り道。
繋いでいた手が、離れてしまいそうになったから。強くつかみ直した。
k『ずっと手繋ぎたいし、毎日顔が見たいし、
同じ部屋に帰りたい。
廉くんも大好きだし、ずっと一緒にいたい』
「……うん、」
k『一緒に暮らしたいって言ったけど、その先の事をちゃんと考えてなかったって言うか……』
自分でも、何を言いたいのか分からなくなった。
k『だめ？』
「え？」
k『好きだから一緒にいたい。
それだけじゃだめ？』
繋いだ手を、じっと見ていた先輩が。
「それがあれば。十分じゃない？」
って。
「先のコトは、誰にも分からないでしょ。
すきだから、一緒にいる。
すきじゃなくなったから、離れる。
それでいんじゃない？」
俺の、もっと遠くを見てる様な。
真っ直ぐなその目に。
いつかちゃんと、うつしてもらえるかな。
好きだと思う。
この人を、好きだと思う。
好き。が。
こんな気持ちだって。
今まで知らなかった。
知らなかったよ。
泣いてしまいそうになったから、
力いっぱい
彼女を抱きしめた
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とあ(プロフ) - ユウさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。いただいた感想を励みに更新します (2019年4月1日 14時) (
レス) id: 86c2dc062d (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 物語の空気感というか時間の流れ方がとても気持ちよくて一気に引き込まれました！岸くんの後輩感と男の子感と男の人感が可愛くて優しくて素敵な作品だなと思いました！！！今後の2人がとても楽しみです！ (2019年3月31日 20時) (レス) id: 111293a5e5 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - いっくさん» ありがとうございます。気ままに更新ですが、見ていただけて嬉しいです (2019年2月12日 7時) (レス) id: 86c2dc062d (このIDを非表示/違反報告)
いっく(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。岸くん大好きなので勝手にキュンキュンしちゃってます！ (2019年2月11日 8時) (レス) id: c15603ea35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とあ | 作成日時：2019年2月7日 22時
