3. Fside ページ4
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そう書かれた教室へ足を運ぶ。
道中で貰ったものは、渉が持ってきてくれた
大きめの紙袋に入れて。
｢なんか今日、やけに騒がしくない？｣
俺の耳元で渉は言った。
｢まだ新学期始まって数日だよ。｣
どう思う？、なんて首傾げながら言うから
｢知〜らない｣
と俺も首を傾げて可愛く返す。
周りの女子達の声が一層大きくなって、
少し…安心する。
それでも、どうにかこの真相を知りたいらしく
渉は俺の腕を掴みながら、
知りたい！
とか
そんなの求めてないって！
とか何やら沢山言ってきて面倒臭いから
｢あのさ、今日って何かあったっけ｣
と、近くの女子に聞いてみた。
さっきまで俺の仕草に沸いていたその子は
急に目に涙を溜めて、私、藤ヶ谷さんに
話しかけられてるどうしよう、
と明らかに困ったような表情になった。
｢いや、その今日は皆いつもよりテンション高いなって思ってさ。渉が知りたがってるんだよ｣
なんで泣くんだよ、好きな人に話しかけられ
たら喜ぶものなんじゃないの。
俺の心の怒りとは反対に、顔は柔らかく
少し困ったように笑ってみせる。
すると、女の子は少しずつ話し始めてくれた。
｢あの、ですね。今日は、転校生が来る、らしくてっ。｣
転校生…？
｢その、転校生が、凄く、人気があったんですよ｣
｢だから皆その子のこと考えて、テンション上がってたって感じなんだよね？｣
はい、と下を向いて耳まで真っ赤になったその子
が消え入りそうな声で伝えてくれた。
転校生が来るから騒がしくなるとかいうあるある
な理由に、つまらないな、なんて溜息が出そうになる。
ありがとう、とだけ伝えてもう教室へ入ろうと踵を返そうとしたとき。
｢その転校生の名前って何？｣
渉はそんな俺の腕をしっかり掴んで、さっきの子にそう訪ねていた。
名前なんて聞いてどうすんの。仲良しにでもなりたいつもりなの、なんて小声で耳打ちしようと思ったけれど、その女の子から発せられた言葉に、俺は頭のどこかで何かが引っかかった。
｢北山、宏光くん｣
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作者名：あんみつ | 作成日時：2018年5月8日 22時
