We are … (ページ19)

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18. Ki side ページ19

…疲れた。正直、授業内容は全然意味解らないし、すぐ眠たくなるし。まあ、ぶっちゃけ寝すぎて疲れただけだけど。

時刻は12時30分。今から1時間後までは昼食時間。
ただ、昼飯を忘れた俺は当然、食べるものが何も無かった。売店に行くという選択肢があったとしても、売店が何処にあるのか分からない。
クラスメイトとは一言も会話をしたことが無いから、話しかけにくい。職員室まで行くのも面倒臭いし。

必然的に今日の俺の昼飯は無しという事に決定されてしまった。

｢よっ。｣

絶望に沈んだ俺の前に、現れたのは藤ヶ谷だった。
名前も知らない前の席の人の椅子に勝手に座り、両手にはナイロンの薄い袋が握られている。

｢なんだよ。｣
｢別に？｣

口角を上げて、悪戯っ子の様な顔で見下ろしてくる。
ふわり、と少し甘い匂いが鼻をくすぐった。

｢北山のお昼ご飯、持ってきた。｣

そう言って、今度は得意気な顔で袋の中から、パン、お弁当、ジュース…など色んな物を机の上に並べ出した。

｢この中から好きなの選んでいいよ。特別。｣

ほら、どうする？
首を傾げてくる女の子みたいな行動に少し苦笑しつつも、食べ物を欲していた俺は真ん中に置いてあるカレーパンを手に取る。

｢それでいい？｣
｢いや、全然いいんだけど…。なんで、ここに居んの？｣

確かに、昼飯のない俺にとって藤ヶ谷は神様だ。でも、それは藤ヶ谷からしてみれば何も得のない行動であり、むしろ損しているんじゃないかと思う。
藤ヶ谷を盗み見れば、顎に手を当てて何か考えているようだった。

｢うーん。北山に昼ご飯の事とか、学校の食堂の場所とか教えられてなかったし。多分、持ってないんだろうなって思ったから。かな。｣

俺のこと、気にしてくれてたんだ。
そう思えば途端に体が火照ってしまうから、急いで席を離れて窓を開けた。
少し肌寒い風を、身体中に感じながら。
後から笑いを含んだような藤ヶ谷の声も聞こえた来たけど、俺はまだ振り向くことが出来なかった。