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10. Fside ページ11

それから、ただ学校の事や寮の話をだらだらと続けた結果、あっという間に部活終了の時間になった。

全員が寮生活という事もあり、皆で一緒に階段を降りていた時。

｢お、藤ヶ谷か。｣
｢あぁ、どうしたんすか。｣

俺に話しかけてきたのは隣のクラスの担任だった。
どうして、ここに居るんだろうか。

｢お前の部屋、今日からもう1人入るから。色々と、教えてやってな。じゃな！｣

それだけ言って、走って寮から出ていった。

｢太輔、何今の？｣
｢分かんない。けど、確か俺の部屋に誰か来るっつってたな。｣
｢ガヤさんの部屋に？｣
｢そう。｣
｢ええ！俺もガヤさんと住んでみーたーいー！｣
｢俺とじゃ何か不満なわけ？｣

タマの怒りを含んだ声色に、ひぃと宮田が小さく声を上げた。

｢取り敢えず、太輔の部屋行ってみようぜ！｣
｢あぁ？ちょっと、渉！｣

珍しく味津々な渉の態度を少し不気味に感じながらも、走る渉を追いかける形で俺含めた5人で走る。

俺の部屋のドアにかけられた、ピンクのドアプレートと、もうひとつの赤いドアプレートを見た渉の足が止まる。
俺も急いで足を停止させるが、後ろから押されまくって、6人もろとも見事に転んだ。
死ぬ…という渉とタマの声が聞こえる。

すると、閉じられていたドアがゆっくりと開き、部屋の中から覗かれた顔を見て、俺は言葉を失った。

茶色い髪に、大きな瞳。

｢……北山宏光だ。｣

ぼつり。渉が呟くように言い放った。