Wolf Moon (ページ5)

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壱馬side

北人「泣いてなければ良いってさっき、」

「言ったね？」

北人「本当にそう思ってる？」

「うん」

北人「会いたくはないの？」

"もう１回会いたいと思わないの？"

再度投げかけられた質問の答えに
俺は迷っていた。

"壱馬さん着きましたよ"

マネージャーの声に気付き
外を見ると見慣れた景色でドアに手をかけた。

「じゃ、お疲れ…」

北人「壱馬っ！」

「？」

北人「この月に誓って言える？会いたいとは思わないって…」

そう言われて見上げた月は
俺に本音を言わせた。

「決まっとるやん…」

北人「え？」

「会いたいに決まっとるやん…」

北人「そっか、良かった。」

良かったの意味も、
北人が安心する意味も分からない
けど、この月に嘘はつけない。

「じゃ、お疲れ」

北人「うん、お疲れ」

狡いくらいに眩しいな？

「会えるもんなら会いたいよ、Aに…」

届くはずもない俺の本音は
今度こそ宙を舞って消えた。