薔薇の棘

＿＿＿ ページ27

.









Aは、その日の内に活動休止を発表してしまった。

止められなかった。









『 これで、少しは楽になれますね、笑 』

健太「 … ッ、 」

『 これから、やりたいことをやります 笑
みんなには言わないでください、 』









Aが苦しそうに笑う姿なんて見たくなかった。

本当はダンスを続けたかったんだと思う。







健太「 … ダンスは 」

『 ランペに戻るまで当然やりませんよ 』

健太「 いつ戻ってくんの 」

『 … さあ？私の気持ち次第です 』







いつからこんなに生意気になったんだ。

Aは、もっとましな子だったはず。








『 けんたさん、 』

健太「 … なに 」

『 泣かないで、 』







別に泣いてなんかない。

目にゴミが入っただけだし。









『 そんなふうにされたら、わたし、どうしろって言うんですか 笑 』

健太「 … だってさ、俺Aとまだ一緒に踊りたかった、 」

『 … 戻る、かもしれないじゃないですか 』







ああ、泣きたくないのに。

涙がぽろぽろ出てきてしまう。









『 … わたしはもう我慢したくないんです 』

健太「 じゃあせめてどこにも行かないで、 」

『 なんか、面倒な男みたいですよ、笑 』









面倒な男って思われたっていい。

だってAが好きだから。









健太「 … 面倒な男でもいいからさあっ、Aは俺のそばにいてよ、
俺が守るから、っ、 」

『 … じゃあわたしのしたいことをします、 』









　
　



　


　



　


　



　

　


　

　




　


Aは俺にそっと近づいて、キスをした。

優しく触れるだけのキス。









健太「 … っ、 」

『 私に、時間をください 』

＿＿＿→←＿＿＿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す