薔薇の棘

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『 我慢しなきゃ、私が我慢すればいいの 』








Aを追いかけてきたら、聞こえた声。

AもAなりに我慢してるんだ。


いや、Aが一番我慢してる。









『 … さっ、切り替えよ 』

樹「 … 戻んなくていいよ 」

『 うおっ、びっくりした、笑 いたの？ 』








この笑顔は作り笑顔だ。

俺にはわかる。

だって俺幼馴染だから。









『 … 樹にもバレちゃうか 』

樹「 困ったら相談すること、東京に来たときの約束忘れたの？ 」






東京に来たとき、約束したんだ。

困ったら相談することって。








『 … 忘れるわけないよね、
でも、私にだって事情くらいあるから、 』

樹「 陣さんは、Aに上手くなってほしいから言ったんだと思う 」

『 … そういうの、 』







顔を上げたAの目には涙が溜まっていた。




　





『 そういうのいい加減うざい、 』

樹「 え、？ 」

『 幼馴染みだからなんなの？
幼馴染みだからえらいわけ？
なんでもわたしのこと知ってると？



もうそういうのいい加減うざいんだってば！ 』







Aが怒ったときに使う博多弁。

これはやってしまった。



　






Aは怒って、どこかへ行ってしまった。

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