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じゅうさん(岩泉side) ページ17

はぁ、と短く息を吐く

俺の腕の中でガチガチに固まっている後輩を確認し、また少し何かが高まった気がした


無理に引き寄せてしまったので、吉田の…いや、亜美の手が俺の制服を控えめに掴んでいるのが分かる

ほぼ咄嗟の行動だった、と言い訳でもするかと思考を回らせていると





「…せ、せんぱいも、緊張するんですね…」




ポツリとこいつが零した言葉にその考えを停止する




「……こんな状況で緊張しない男はいねーよ」




少し言葉選びに迷いつつ、結局素直に思ったことを告げる



「そういうもの、ですか」

「そういうもんだよ。…というか、お前も大概だろ」



ほんの少し振り回されたお返しのつもりで指摘してやると、亜美は制服を掴む力を少し強める




「私はこういう経験全然ないから…よく分からないです…でも」

「…でも?」

「今幸せ過ぎてしんじゃいそうです」







そう言うとコツリと頭を俺に預け、先程までの緊張を少し解いていく


…そういうこと言うから俺が調子に乗るんだぞ、…なんて言えやしないが。




「…そうかよ」

「…そうです、…わ、私せんぱいのこと大好…」





彼女がその言葉を全て言い終える前に抱きしめる力を強くした
っ、と驚き亜美が声が出せなかったのを確認する



「…知ってるからそれ以上言うな」

「でも、先輩…」

「今言われたら本気で喰いにいきそうだから、やめろ」




喰い…?と不思議そうな声を漏らす様子を見て
やっぱりこいつは危機感が足りてないんじゃないかと思う


勿論俺だって優しい先輩を気取りたいが、ヤツみたいに飄々となんて出来やしない

勿論それ以前に俺は”男”なのだから





「午後からも授業受けたいなら、やめとけ」

「わかりました…?」





これは絶対理解してねぇな、と感じつつ
近いウチに教えとかねぇと…なんて考える


お前だけじゃない俺も相当、惚れ込んでいるんだと全てに叩き込んでやろうか。なんて











静かに鳴り響いた休憩の終わりを告げるチャイム


名残惜しいながら回した腕を外す

…離した時にこいつが少し寂しそうな顔をしたように見え、俺もまた末期か。と苦笑した





「…次遅れるからサッサと帰るか」

「はい、わかりました。…あの先輩。」

「ん?」

「また、ここ来ませんか?」




恐る恐る、それでも希望を持ちながらそう強請る彼女の髪を撫で






「…ああ、次も誘う」



俺がそう言ってやると嬉しそうに亜美は顔を綻ばせた

じゅうよん→←じゅうに



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kite(プロフ) - セノさん» コメントありがとうございます。文才なんてそんな…でも嬉しいです。これからもご贔屓によろしくお願いします (2015年3月12日 20時) (レス) id: b3e6317ab4 (このIDを非表示/違反報告)
セノ - ドキドキと画面の前ニヤニヤ=作者様の文才。という方程式を私は知っている!!((バッ 物凄く面白いです!この作品で、岩ちゃんへの愛が増えました!!応援してます! (2015年3月12日 3時) (レス) id: d1fca42de7 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - すごくおもしろかったです。 (2014年11月20日 22時) (レス) id: f914af4869 (このIDを非表示/違反報告)
もふた(プロフ) - 岩ちゃんかっこいい!!!!!!!!!!これからも頑張ってください!!!!!!!!!!応援してます(*´∀`*) (2014年10月23日 22時) (レス) id: bda7562276 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - とても面白かったです。今後も頑張って下さい (2014年10月19日 16時) (レス) id: 1edd946607 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kite | 作成日時:2014年9月24日 21時

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