◎ ページ10
実にいいことを閃いた。
『ウェスティンホテルはどう!?』
「ウェスティンホテル?」
『うん!そこでコース料理食べようよ』
「マジ?贅沢過ぎないか」
『行こうよ!だってこんな機会がないと行くことも無いんだしさ、拓司の東大王卒業祝いも兼ねてさ』
「...まあ正確にはまだ卒業してないけどな」
『細かいことは気にしなくていいの!前祝いってことで大丈夫、私が予約しておくから!』
「まかせていいの?」
『いいよ!楽しみにしてて』
そうなのだ。
本当はずっと二人で卒業のお祝いをしたかった。
私も面と向かってちゃんと「お疲れ様」って言いたかったんだから。家じゃ味気ないし、何かしらの特別感が欲しかったんだ。
『拓司、紀伊國屋のイベントってことはフォーマルでしょ?』
「まぁ、ジャケットにスラックスくらいは着るだろうな」
『着替えずにそのまま来れるから丁度いいよ』
「直で向かえばいいって事?」
『貴重な時間ですから』
「合理的だな」
『ね!名案でしょ?』
「亜紀はどうすんの?着るものあるの?」
『えーと、友達の結婚式で着たパーティードレス?』
「ははは、完璧だな」
『拓司なに食べたい?』
「んー、肉かな」
『わかった!肉ね』
「いや、やっぱ魚かな」
『わかった!魚ね』
「コース料理だろ?たぶん両方あるって」
『そっか!そうだよね!』
二人で約束して、電話を切った。
ホームページを見ると、煌びやかな料理の写真。
そしてオープン窓から見える絶景。
想像しただけでニヤニヤと口角が上がるのを感じる。
...修学旅行前の中学生でもあるまいし、自分の精神年齢の低さに少し呆れつつも、
(...それでもたまらず心が踊る。)
ほんとに、本当に久しぶりの、
本格的な大人のデートだ。
その日が来るまで、指折り数えるんだ。
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aki(プロフ) - aichさん» ありがとうございます!^ ^ そう言って頂けて本当に嬉しい!あのお話は伊沢さんにおんぶされたい願望を爆発させたものです!少しでもaichさんの心に響いたのなら、これほど嬉しいことはありません!本当にありがとうございます^ ^ (2019年3月12日 13時) (レス) id: 47898df90d (このIDを非表示/違反報告)
aich(プロフ) - とっっっても素敵でした。3連休デートのお話で、伊沢さんが夢主ちゃんをおんぶしながら考える回がとっても感動して泣けました(語彙力) (2019年3月11日 21時) (レス) id: 256f7a3088 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2019年3月6日 9時