伊沢くんと幼馴染恋人ー２ー

小さくて大きな約束 ページ9

スマホに表示された名前は、
ずっとずっと待ちわびていた人からだった。





「来週なんだけど、金曜の夕方からそのまま三連休貰えそう」

『え、ほんとに？』





三月も半ばに入り、新生活の準備や仕事等で何かとバタバタしていた彼。

長らく放置されていた私に対して、久しぶりの拓司からの連絡は思い掛けない吉報だった。

予想していなかった展開に驚きつつも、単純な性格が災いして喜びを隠しきれる訳もなく、スマホ越しの会話も無意識にテンションが上がる。




『三連休なんて久しぶりだね。日中の仕事は？』

「それなんだけどさ」

『うん』

「朝一からTBSで特番の収録があって」

『うん』

「その後に紀伊國屋で出版イベント」

『うん』

「だから、17:00過ぎでもいいなら」

『もちろん！』




なんという事でしょう！


夕方から土日に掛けて二人でゆっくりと過ごす時間ができる...


一体いつ振りの事だろう...！

まさに私の願いが叶ったのか...


ミラクルだ...！！




「お前は予定大丈夫？」

『大丈夫！バイトのシフトは土日入れないようにしとく』

「そう？」

『うん、どうする？ご飯でも行く？』

「そうだなー。駅に着くのが17:30だとして...」




中野周辺ってことかなぁ、

せっかくだし、移動による時間ロスは避けたい。

そうだな...どこか良い場所は...



(.........！！)



脳内にある場所が浮かび上がる


小さい頃からずっとその場所にある。稀に結婚式なんかも行われていて、普段だったらとてもじゃないけど立ち入れない...


(...たしか高校のとき拓司と「ここってセレブが来るとこだよね、一生のうちに一回は行ってみたいよね」と話した事のある、その場所...)

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