男友達の憂鬱(山本さん視点) ページ5
机と椅子が固定されている極々一般的な広い講義室で。
久しぶりに自分と選択している科目が被った伊沢さんの彼女、亜紀ちゃんは何だかいつもより元気が無い。
気のせいと言えば気のせいなのかもしれないけど、普段の弾けるようなハツラツとした笑顔が、今日はどことなく影を潜めている感じがする。
(勉強はそれなりに得意でも、)
(女心を読むのは苦手な俺。)
厳酷な教授の視線は欲しくは無い。
当てられたく無いことを理由に後ろの方の席に並んで座って、ノートでは無く二人ともパソコンに文言を記して行く、普通のいつもの授業風景なんだけど。
彼女の発するカチャカチャと響くタイピング音も、エンターキーを押す音も、何だか普段よりも味気なく聞こえる気がするんだ。
「...亜紀ちゃん、なんか元気無いね?」
『...え、そうかな』
「...うん、何かあった?」
『......』
バレないように小声で話す。
お互いに手はキーボードの上で、
視線だけを交えて静かに会話する。
『...何も、お昼食べたら眠くなって』
「......」
『... 教授の授業つまんないなーって』
「......」
『...補習科目の単位追いつかなくて』
「......」
『...今月、バイト忙しくて』
「......」
『...いや。ごめん。全然違う』
俺の無言の問い掛けに観念したのか、小さく苦笑いを浮かべてキーボードを打つ手を止める彼女。
少しだけ俯き加減で、横に置いてあるスマホをちらりと確認して、「...今日で2週間か」と呟いた。
(...何となく、理由を推測する。)
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aki(プロフ) - aichさん» ありがとうございます!^ ^ そう言って頂けて本当に嬉しい!あのお話は伊沢さんにおんぶされたい願望を爆発させたものです!少しでもaichさんの心に響いたのなら、これほど嬉しいことはありません!本当にありがとうございます^ ^ (2019年3月12日 13時) (レス) id: 47898df90d (このIDを非表示/違反報告)
aich(プロフ) - とっっっても素敵でした。3連休デートのお話で、伊沢さんが夢主ちゃんをおんぶしながら考える回がとっても感動して泣けました(語彙力) (2019年3月11日 21時) (レス) id: 256f7a3088 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2019年3月6日 9時