伊沢くんと幼馴染恋人

◎ ページ27

「伊沢さん、怒ったりしないの？」

『え、何がですか？』

「いや、俺に勉強教えてもらったりして」

『んー、大丈夫だと思います。そんなに嫉妬深く無いんで』

「そうなんだ」

『自分に自信もあるんですよ、何があっても亜紀は俺と別れないだろうって、まぁ私の勝手な妄想ですけど』

「それだけ絆が深いんだね」

『幼馴染だし、近くにいるのが当たり前になってるんですよ、だからってあの余裕綽々のところがちょっとムカつくんですけどね！』

「...ははは」



笑顔で小さな毒舌を述べる彼女をチラりと見た後に、苦笑いの山本と目が合う。


可愛くて、素直で、明るくて、


(......ああ、思い出した。)




『あ、でも！この間数合わせで合コンに行った時は、さすがにちょっと拗ねてましたね』

「へぇ、そうなんだ」

『あれは貴重だったなぁ、あんな風に毎日素直だといいのに。』




(....勝ち気で、負けず嫌い...。)

ある意味で「強い」

...ああ、何となく分かった気がする。




「これは線型代数学の中にあるベクトル空間っていうのを使うんだけど」

『え、そんなに高度なやつだったの？』

「基底と次元分かる？」

『R2の標準基底？』

「そう、それを先に出して別の斜交基底当てはめるんだけど」

『？？？』

「亜紀ちゃん頑張れー」








ーーー後日談ーーー


(あ。伊沢さん)
(ん？)
(この間、亜紀ちゃんに会いましたよ、偶然)
(マジか、あいつうるさかったろ？)
(いや、面白かったです)

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