彼と試験勉強 ページ11
定期試験とか考査とかって、高校生がピークだと思っていたけど、実際は全然違う。名門と呼ばれている大学に入ったって卒業出来なければ意味が無い。
なんて言ったら随分と極端だけど、
入ったらそこがゴールでは無くて、どうやって過ごすのか、何を学んで何を生かすのか、そこが大事な訳で。定期的に訪れる試験は、やはりある程度の成績を修めていないと中々厳しい。
「......」
『......』
参考書とタブレットを使いながら向かい合わせになって机に目を向ける私達。
通う大学は違くても試験の日にちは同じで。今まさに彼の部屋でお勉強中。
クイズノックの撮影も、定期考査が終わるまでは暫し中断するらしい。
『...ねえ、拓司』
「...んー?」
目の前でカリカリとリズム良くペンを走らせている彼に声をかける。
『ここ、分かんない』
「ん、どこ?」
『これ、全然グラフが作れない』
難解な数学の問題。
数分前から頭を捻らせても一向に答えに辿り付けない難問。
「...あー、これね」
『どうすればいいの?そもそもの考え方が分かんないよ』
「だってそれ、使おうとしてる公式が違うんだよ」
『え?』
「微分積分忘れたの?」
『え、ちょっと待って...』
「おいおい、高校の問題だぞ?それ」
『そんなことないよ、応用だもん』
「じゃあこれ代入して計算してみ?」
『え、だってX-1が...』
「違うって、yに対して同様なんだよ」
『ん〜....??』
必須科目とはいえ苦手なものは苦手。
世の中には得意不得意があるのだ。
だけど、こうやって彼と勉強している時間がたまらなく好きなのだ。
私だけの彼でいてくれる。そんな小さな優越感に浸ることが出来るから。
『あ、分かったかも』
「あとは全部当てはめて計算してみ?」
『そっか、こういうグラフだったんだ』
「過去問もやっとけよー」
『後は明日試験前に山本と確認しとこうかな』
「え、山本?」
『うん、念のため』
「いや、いいよ、不安なら俺が教えるって」
『ヤキモチ?』
「違う」
幼馴染の彼は案外普通の男。
私の前では、饒舌な編集長じゃなくてもいいからね。
だって、そんなところが好きだから。
209人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aki(プロフ) - ちさこさん» そうですね(^◇^;)それは理解していたんですが話しの流れで理系にしちゃってました。やはり無理がありますね、訂正させて頂きます。ご丁寧にご指摘下さりありがとうございます! (2019年3月8日 7時) (レス) id: 47898df90d (このIDを非表示/違反報告)
ちさこ(プロフ) - すいません、川上さんは文系の気がします… (2019年3月8日 7時) (レス) id: 3163b41a84 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ななさん» ありがとうございます!更新の度に読んで頂きとても嬉しいです!今後もお付き合いくださいね!^ ^ (2019年3月6日 9時) (レス) id: 47898df90d (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 宇宙の彼方さん» ありがとうございます!楽しんで貰えて嬉しいです!今後もお付き合いください!^ ^ (2019年3月6日 9時) (レス) id: 47898df90d (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ゆきえさん» ありがとうございます!^ ^まだ続けることにしたので、今後もお付き合いくださいね! (2019年3月6日 9時) (レス) id: 47898df90d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aki | 作成日時:2019年2月27日 12時