第27話 ページ30
｢ワン！！ワン！！｣
静かで平穏だった中庭に、ポチの大きな鳴き声が響き始める。その声に気付いた中庭に居る人々は、皆ポチを目で追った。
｢うわぁどうしようこれ…｣
多分…というかほぼ100%、ポチはここに来て鳴く。誰も座っていないベンチの前で犬が鳴いていたら、その光景を見ていた人達はどう思うだろうか。
…俺だったら｢幽霊でも居んのか｣ってなる。それはちょっぴり避けたい。さっきも言ったかもしれないが、怪奇現象とか七不思議的なのになるのは勘弁。
いや、むしろそうなった方が良いのでは？俺が透明人間になったって皆に伝えられるのでは？信じてもらえるかは別だが。
｢あぁああああ！！もう分からん！！｣
頭が回らなくなり、やけくそになった俺はその場から逃げ出した。
｢俺はオスマンとかエーミールみたいに頭脳派じゃねぇんだよおおおおぉお！！！｣
｢ワンッ！！｣
思わず出してしまった叫び声に応えるような形でポチが鳴く。もちろん、俺のことを追いかけながら。くそぅ、その｢お前嬉しそうだな！｣っていう鳴き声やめろ！！
透明人間vs犬の地獄のような鬼ごっこが始まった。
｢……ん？｣
一人の男が一時間ずっと夢中になって読んでいた本から目をそらし、立ち上がった。理由は窓の外から聞こえてくる犬の鳴き声……では無い。男は数秒前から犬の鳴き声を認識しており、違和感を感じながらも｢今は良いところだから後で様子を見に行こう｣と決心したばかりだ。
｢今、Aさんの声が聞こえた気がしたんやけど…｣
エーミールはそう呟きながら窓へと歩み寄り、外を眺めるが、そこにAの姿は無かった。
｢気のせい…か｣
瞬時に抱いた淡い期待は、シャボン玉が割れるかのようにぱっと消えた。
｢無事だったら良いんやけどなぁ…｣
｢絶対に生きてはいるから見つけ出す｣その言葉に頷いたエーミールであったが、持ち前の頭の良さのせいか考え込んでしまう癖のせいか、最悪のケースばかりを想定してしまい、かなりの不安を抱えていた。
｢…！ネガティブになっちゃいかんって今朝コネシマさんに言われたばっかりなのに…！｣
｢このままこの場所に居座ると、嫌でもAさんのことを考えてしまう｣読書をする気分でも無くなってしまったエーミールは、読みかけの本を棚へ戻し、図書館を後にした。
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温度差に風邪を引いてしまったら申し訳ありません()
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椿 - おもろすぎて周回してrワン！ (2021年4月24日 11時) (
レス) id: 37e6844d54 (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 続きが気になりワン！ (2021年4月8日 20時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
秋刀魚大好き民 - ｱｧｰwrwrdﾄｳﾄｲﾖｫ!皆さんどうしたんでs ワン！ (2019年12月31日 15時) (レス) id: 3cfb10bf82 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！！！更新頑張ってください！！応援してるワン！！！ (2019年12月2日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
snow - 自分のペースで更新頑張ってくだs…くぅーん(a国にいってもポチはついていきそうですねw) (2019年11月9日 16時) (レス) id: a79ef504eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつお | 作成日時：2019年5月19日 7時
