短編集舞駕家！！～ars～ (ページ2)

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帰り道２ページ2

口から漏れる声は、あ、とか、う・・・って声にならない
何やってるんだろ、俺。
「おい、名前は？どこ中だ？」
痺れを切らした一人が口を挟む

答えなきゃ
そう思っても喉の奥でもつれる。
我慢の限界だったのだろうか
俺の頬に拳が降りてくる

ヒュンッ・・・て音がして鈍い痛みが頬を伝った

怖い
怖い怖い・・・ッ
必死の思いで搾り出した声はなんと情けなかったことか
「ま・・いが・・ッしろう・・舞駕、四郎・・」
口の端を血液が落ちる
こんなんで聞き取れたのだろうか？
あぁ、もうだめだ、逃げ出したい・・・

「・・・舞駕って・・・舞駕？」
一人の男が隣を見る
見られた男はわからない、という顔でもう一人を見上げた

「舞駕兄弟じゃね？」

・・・え、何そのだっさいネーミング
たぶん、違うとおも・・・・
「あは、正解！！」
俺の声が遮られた、と思ったら一番大柄な男がうずくまっていた

ビックリして動けない俺を、暖かいものが包み込む
「遅くなってごめん、しろ。怖かったね・・・」
あ・・・いちにい？
安心したら腰が抜けて、いち兄の腕からすべるように座り込んだ。
いち兄ごしに、じろ兄の姿が見える
倒してくれたのはじろ兄みたい。
ボーッと魂が抜けたみたいにその光景を見つめる
じろ兄が相手を羽交い絞めにした
その瞬間

ガツ・・・！！

鈍い音と一緒に後ろからじろ兄が、殴られた