35話 ページ5
｢指輪？…というか｣
｢は ず れ な いぃ！｣
ぐっぐっと指輪を引っ張り指から抜こうとする入間。
そして、他人に助けを求めようと手を伸ばすが全員が入間から距離をとる。
申し訳ないことに私も後ずさってしまった。だって、入間の肩に何かが乗っているのだ。
何故だか、見てるだけでゾワゾワする不快なものが。
困惑する入間にエリザベッタが肩のものを指摘し、入間が取り乱す。
｢わあぁなにこれ？！｣
｢おっ、落ち着いてください入間様！｣
｢指輪からなんか…えっやだ。取って取って！！｣
｢入間くん一旦落ち着いて｣
入間がここまで取り乱すのは珍しい。声を掛けるが落ち着ける様子は無かった。
様々な事柄に慣れていると言っても、ここまで異質なものは初めてなのであろう。
｢ええい振り回すな！｣
カルエゴがそう言うと、グルッと鳴いた生物がヴォォと耳障りな声を上げた。
生徒達全員が耳を塞ぎ、床へと崩れ落ちる。
Aは何とか崩れ落ちることは無かったが謎の叫びが頭を揺さぶり意識が酩酊する
当の本人である入間は何も感じていないらしい。つまり、この生物は悪魔が嫌う音を出しているのか。
｢入間くんッ、平気そうだったら鳴くのを辞めさせられる…ッ？！｣
｢はっはい！｣
投げやりに言ってしまった私も悪いが、何故か入間は赤ちゃんをあやす様にその生物を横抱きにし、体を揺らす
｢こ、こうですか…？！｣
｢いや口とか塞げって意味だよ！！｣
その行動が面白くて、ぐっと笑いそうになってしまった。ツボが浅いのも考えものだ。
それに今油断すると崩れ落ちちゃうからやめて欲しい。
混乱してる入間はまだ横抱きであやし続ける。すふと、何故かクララがお世辞にも綺麗では無い声で子守唄を歌い始めた。
｢騒音が増えた！！｣
｢あっでも和んでるぞ！！｣
｢ノリいいな！｣
｢菓子をやろう！！｣
｢写真を撮ろう！！｣
｢楽しむな貴様ら！！｣
｢っふ、｣
絶対こんなコントをしてる時ではないはずなのに、リズム感が狙って来すぎていて無理だった。
｢Aはすぐに笑うな、場を考えろ｣
｢いやこれは私悪くなくない？！｣
.
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作者名：野崎 | 作成日時：2020年1月31日 4時
