静か ページ10
『…』
シン、と静まった中、矢を持ち構える。
手の中で弓を捻るように、静かに、落ち着いて。
ぴゅんっ コンッ
「ド真ん中!」
声がした方を振り返ると私と同じくらいの女の子。
この子も弓を持ってる。
「あっ!邪魔だった?ごめんね!?」
『ううん、大丈夫だよ』
「よかった…」
ほっ、としたような顔をした後に、笑顔になる。
くしゃっ、とした感じじゃなくて、ふわり、って感じの笑顔。
「試合の時は終始真顔だったから、てっきり真面目な子なのかなー、って」
『あれ、会ったことあったっけ?』
「同じ大会だったけど、私は二回戦敗退だから覚えてないのも無理ないよ。」
『へぇ』
「優勝だからね、覚えてる」
『あれは偶々だよ。前はぼろ負けしたから』
笑うとびっくりした表情をされる。
何か可笑しい事言ったかな。
「誰に負けたの!?」
『んー、覚えてない……』
「そこ重要でしょ!」
「ふへへ、ごめん」
スマホが振動した音を確認して開けると江ちゃんから。なんだろう、とメールを開けると、
「Aちゃん水着あったら来て」
『……ごめんね、もう行く』
「そうなの…、じゃあまた試合でね!」
『うん』
何があるのかなー、なんて少しわくわくしながら走る。
そう、全力疾走!
「うわっ、速い」
誰かがなんか褒めてくれた声が聞こえた。
なんか嬉しいなぁ。※褒められてない。
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作者名:漣 | 作成日時:2018年9月9日 17時