だからそうやって笑わないでくれ【Free!】 (ページ13)

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暗い夜ページ13

凛side

数日後

＂Twinkle Twinkle little star.(きらきらひかる、おそらのほしよ)＂

「……？」

イヤホンを外しても歌が聞こえる。

ジョギングする足を止めて上を見る。

「…こんな遅い時間に歌ってんのか」

＂How I wonder what you are.(まばたきしては、みんなをみてる)＂

何処からだろうか、と自然と気になり周りを見渡して見る。

「……？」

海をただ、立ってぼーっと見ている。

夜の海を、なんというか、感傷に浸るんじゃなくて、本当にぼーっと。

ふわっ__

彼女の帽子が取れ、白色の髪がふわり、となびく。

はっ、としたように両手を上げた彼女は後ろを振り返って帽子を取る。

「……すみれ色の目。…白色の髪…………………A…？」

ザザーッと、波が来る。

Aの足は裸足だったから濡れている。

『……』

「……彼奴、水が平気になって…」

まあ、もう年も離れた事だし。感情が薄れててもおかしくない。

俺の事も覚えてないのかもな、と思いながら帽子を深く被った。

『…凛、お兄ちゃん……？』

「…………」

顔は見えない。だけど後ろにいるAがこっちを見ているのはわかった。

俺は振り向く。

「…久しぶりだな」

『…………』

目を見開いて口をきゅっと結んでいる。

でも、その後すぐに、切なそうに、俺から目を逸らした。