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｢彼女は、無傷で部屋から出てきました。…ターゲットに拉致されたのにも関わらず｣
｢……彼女が有力な情報を喋った、ってのはありえない話か？｣
｢いや…、本人は、こちらに回復力は無いと言っただけだそうです。…………確かに俺達に嘘を言ってる可能性も無くはないですが｣
流石に彼女があの状況で嘘をつけるほど策士ではない、と彼の顔に書いていた。
俺もそう思う。しかし、女という生き物は残酷である。人の良さそうな笑顔を向ける彼女も、腹の底では何を思っているか分からない。
俺は先程の一件があってから、何を信じて行動すれば良いかが分からなくなっていた。
｢まあ確かに、怪しさ満点だな｣
｢グルさん………、俺は、私情を挟まんくてもあの子がスパイやとは思えへん｣
｢トントン。お前はあいつに甘すぎる。私情挟みまくりじゃねぇか｣
彼にそう決め付けられてしまったトントンは、ぐ、と押し黙ってしまった。
俺はなにが正解かも分からなくて、普段ならする助言も出来なくなった。
グルッぺンは俺に視線を向けて意見を求めようとしたが、俺は口を開きたくなくて小さく首を横に振る。
｢……グルッぺンさんも、俺がおかしいと思いますか｣
｢______いや、全く。むしろ正しいだろう。スパイがいると考えている時点で、新しく入国した捕虜のAが怪しいと考えるのは普通だ。それに、あいつがスパイの可能性は十二分にある｣
｢ただ、あいつがもしスパイだとしても手放したくはないな｣
彼は頬杖をつかながら、窓の外を眺める。
外なのに、ここまで聞こえてくる騒がしい声がする。コネシマやロボロの類だろう。トントンが頭を押さえ、呆れたような表情を浮かべている。
｢あいつにはまだまだ仕事してもらわなきゃな。……それに、あいつに惚れ込んでる奴も少なくないみたいだしな。なぁトントン？｣
｢っ…、うっさいわ。別に好きじゃないですけど！｣
｢___これだけは頭に入れとけ。どれだけ信頼してても、壊れるときは簡単に壊れるぞ｣
その言葉は、トントンに言っているのに俺に向けて言っているように聞こえた。視線を彼に向けると、案の定彼は俺の方を見つめている。
チーノが来る数時間前、俺はアンネスが死亡したことをグルッぺンに報告した。彼は顔を顰め、そうかと一言呟いた。
彼女が死んだのは、俺の責任である。俺は彼女を信じてやれなかったことに後悔しかなくて、拳を強く握っていた。
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味噌かつ - Twitterフォローさせていただきました！いつも繰り返し見てます！神作だと思ってます！素晴らしい作品をありがとうございます！ (5月14日 20時) (
レス) @page46 id: ed221277ea (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 柊木さん» ありがとうございます..！！そうおっしゃって頂けて嬉しいです(TT)良かったです！もっと考察出来るような深い作品に出来れば良かったのですが、自分の技量ではそうもいかず、、今後もそうおっしゃって頂けるよう頑張ります！！ (2021年3月13日 9時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 白夜ちんさん» いや、彼らをそう仕立て上げた裏の支配者は私です・・・(？)是非そうしてやってください！！ (2021年3月13日 9時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
柊木(プロフ) - すごく考察に入りたいレベルで好きです…。勝手にスパイの目星をつけて楽しんでます！ 本当に面白くて好きです！ (2021年3月12日 0時) (レス) id: 98823b925f (このIDを非表示/違反報告)
私猫(プロフ) - 夢主ちゃん？！？！ (2021年3月11日 14時) (レス) id: a5b5a226ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚
| 作成日時：2021年3月3日 11時
