95 ページ46
｢……いや、貰い物だとおっしゃってたので…。コネシマさんにあげたものを私が表で使うのはどうなのかなと｣
｢は？いや俺がお前の為に選ん_________｣
｢はい？｣
｢………なんもない。もう行くわ｣
そうだ、貰い物って設定になってたのを忘れていた。自分がまいた種であるのに、あの時の自分を恨めしく思う。
彼女はまだ俺の汗を拭っていたが、途中で俺が距離をとったからか彼女の手は空を切って、ぐらりと体制を崩した。
そんな彼女を支えようと腰に腕を回し、重心をとる。
その時、ふわりと香ってきた覚えのある匂いが、俺の鼻をくすぐった。
｢わ………、っと、すみません｣
｢……香水、あげたやつか？｣
｢あ、そうです…。良い香りだったんで、気に入って｣
｢ほーん｣
｢…………っあの、コネシマさん？｣
ハンカチはダメなのに、香水はつけるのか。
そう思ったが、彼女が俺の選んだ香水をつけてくれていることが予想以上に嬉しくて口元が緩んだ。
俺は無意識に腕に力を込めてしまっていたようで、抱かれている彼女はぐっと俺の胸板を押す。
弱い力に、このまま抱きしめてしまいたいという衝動にかられたが、力を緩めて彼女を解放してやった。
｢あの、ありがとうございました。…………じゃ｣
｢お、おん……。｣
彼女は頬を染めて、パタパタと廊下を小走りで去って行った。
不覚にもそんな彼女を可愛いと思ってしまって。
初めて抱くこの感情に、今までにないほど悩まされて頭を抱えた。
.
｢紅茶、紅茶〜｣
私は数少ない休日に、紅茶の茶葉を購入しに専門店に訪れていた。
店に足を踏み入れると、一気に紅茶の匂いが鼻を通る。色んな茶葉の匂いが混ざりあっても落ち着く香りなのだから、紅茶は最高だ。至福！
｢おぉ、また来てくれたのかい。｣
｢おじ様！やはりとても良い所ですね。毎日来たい位ですよ｣
｢ほほほ、褒めるのが上手じゃなぁ。そんなに褒めても値下げはせんぞ？｣
そんなつもりで言った訳では無いのだが、この店の店主は中々靡かないらしい。
ここまで上等な茶葉なのだから、値下げしてくれなくてもそれ同等の価値があるので全然良いのだけれども。
棚に並べられている茶葉たちを色々見ていると、様々な種類があった。O国では無かった種類が沢山あってとても興味があったが、とても全て買えるようなお金は持ってきていなかったので、その中の一つを選び店主に渡した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
叶子(プロフ) - アキさん» そうおっしゃって頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！！頑張ります！！！ (2021年3月2日 19時) (
レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - この作品のknｼﾏさんが好きすぎて更新が本当に楽しみです！とっても面白いです、応援してしています！ (2021年3月1日 19時) (レス) id: 41a4293417 (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 方舟さん» いえ私は全く何の関係も知識もないド素人でございます(^^ は！看護学生の方でしたか・・！実際学ばれている方からすれば不自然な点が多々あると思います； なるほど！それは是非お聞きしたいですね。近々お迎えにあがりますのでどうかその際はよろしくお願い致します。 (2021年2月24日 1時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
ReiHeta(プロフ) - 叶子さん» のんびり、気ままに更新まちまこ (2021年2月23日 21時) (レス) id: bd92c2b39c (このIDを非表示/違反報告)
方舟(プロフ) - 続編前から読ませてもらっています。わざわざ薬の成分や、効き方を調べるだなんて…もしや本職だったりします？元（ここ重要）看護学生なのですが、時代相応かはさておき、あるある話等提供はできますので、必要があればお声がけ下さい。 (2021年2月23日 19時) (レス) id: 894a36e101 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚
| 作成日時：2021年2月23日 16時
