令嬢、夢から醒めたい【d!】 (ページ4)

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｢……様！…………様！………………A様！！｣

一際大きく揺れる体に少し脳が覚醒した。それでも尚、重たい瞼をあげられずに再び深い眠りに沈む。しかし先程よりも大きく何かが体を揺さぶるので、無理矢理意識を呼び戻されてようやくぱちりと目をあけた。

薄目で瞼をひらくと、あまりにも眩しい照明が差し込んで目が眩む。鉛のように重たい腕を浮かせて光を遮り、やっとのことで視界をクリアリングさせて目の前にいる人間を認識した。

｢起きてください、A様。今日はパーティーですぞ｣

だいぶ歳を重ねた様子の男性が私の顔を覗き込む。彼は人の良さそうな笑みを浮かべて、目の横のシワをより深く刻ませた。

見知らぬ人間に呆然として、寝起きだということもあり固まっていると、胸の辺りまで被っていた布団が一気に捲りあげられた。布団の中で体温と融合していた空気が一気に外気に吸い取られて、一瞬にして冷たい空気が体にまとわりつく。突然の温度の変化に身震いして、寒さを凌ぐように両腕を擦りながらぱちぱちとまばたきをする。

その様子をにこりとした表情で見つめる先程の男性、そして後方に並ぶメイドらしき女性がずんずんとこちらへ向かって進んでくる。その様子に狼狽えて慌てていると、申し訳程度に構えていた腕をやんわりと掴まれて、ゆっくり腕を下ろされる。

｢さあ、準備なさいますよ｣

｢………え？｣

煌びやかな装飾に会議室の3倍はありそうな一室。
ありえない光景にぱちぱちと目を瞬かせる。

メイドは驚いている私を見て、不思議そうに首を傾げた。