夢と決めつけるにはまだ早い ページ1
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｢ーーー続いてのニュースです。○○✕○○○□在住の△△△さんが、路上で歩いているところを忽然と姿を消しました。他にも行方不明者が続出しており、これは地球外生命体の犯行と見て間違いないとのことです。この一連の事件は、姿を消す前に必ずーーー｣
｢なに言ってんねんこのキャスター」
ドッキリです、と言われてもおかしくないニュースに唖然とする。聞き慣れない事件に珍しく思ってテレビに釘付けになっていたら、同じテレビを見ていた男が頬杖をつきながらそう呟いた。この男、あだ名をトントンという。
「地球外生命体って…宇宙人の仕業ってこと？」
｢まぁ要するにそういうことちゃう？まさかそんなわけないのになぁ｣
幽霊、怪物ーーー個人的には、それと同じような分類に属するのが宇宙人だと思っている。
基本的に生身の人間が蔓延るこの世界、更に言うとこの地球上では存在しない物体、宇宙人。またはエイリアンと称される地球外生命体が、そもそも存在するということ自体紛れもなくオカルト話だ。
だというのに、その宇宙人の仕業だという地上波のニュース速報に頭が混乱する。
彼はキャスターの報じる内容に一蹴して、ピッとチャンネルを変えてしまった。
ちなみに、彼がチャンネルを変えたテレビは食堂に設置されている110インチテレビの1つだ。斜め前のテーブルに座る管理職の人間がぎろりとこちらを睨んでいるが、私を巻き込まないで欲しい。
｢昼休みあと30分もないやん。はよ食べな｣
｢あ、ごめん｣
昼1から始まる会議に向けて、打ち合わせも兼ねてトントンと昼食をとっていた。
彼は私の同期で、たまに同じ会議に出席する。
残りのご飯を口に運び、食べ終わってからもしばらくは他部署の同期の話に花を咲かせていた。
｢ーーさんとーーって結婚したんやろ？｣
｢あ、そうそう。いやまだだけど、もうすぐだって。すごいよね〜同期マジック｣
｢式って俺らも呼ばれるんかな｣
｢いやぁどうだろ｣
売れ残り、という年齢には満たないがそろそろ結婚してもおかしくない歳にまでは上り詰めてしまった。特定の相手もおらずのんびりと休日を過ごす日々は中々有意義なもので、特に恋人という存在に固執しなかった為に年齢ばかり重ねて今に至る。といっても、まだ個人的にはデッドラインに差し掛かっていないのでそこまで焦っていなかった。
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作者名：柚
| 作成日時：2023年12月17日 17時
