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大体、薬を精製するのに何時間、長期になると何日もかかるものだ。
新薬を登録するのも、何日と言わず何ヶ月もかかるものである。
それを1日で増幅させようとしているのだ、無茶と言われても仕方ない。
「俺も手伝う」
「いい!今は先生の手伝いをして。矢抜くの終わったら手伝って」
「分かった。無理すんなよ!」
他の研究員達は医者の手伝い、薬剤師は薬の材料だしをしてくれている。
生成を手伝わせたいところだが、薬は少しのズレが副作用に繋がる。量りでさえも、少しでも下が平行なところで無ければ量が正確にならず、その服用者を危険を及ぼす可能性がある。
まあ本来成分や用途理解し病人に提供するのが薬剤師の仕事であって、全員が全員川田のような有能な人間である訳がないのだけれども。
それに、今回のは止血剤で、塗り薬とは訳が違う。
直接体内に投与するものは、本当に慎重に調合しなければならない。
「次トランサミンください」
「A、なんも出来なくてごめん…。これくらいしか出来ない」
「いや、めっちゃ助かってます。」
「終わったらお茶会しようね」
「水戸さん…!約束ですからね!」
こんなことになるなら、止血剤を大量生産しておくんだった。
はあ、と1つため息をついた。
フラスコに入った溶液と生薬を絶妙に調整しながら薬を調合していく。少しのズレも許されない上で、人が1人死ぬかもしれないという状況下の中、焦りは禁物だというのに冷や汗はだらだらと背中を伝う。
止血剤を作り始めてから、数時間経った所でふと思う。
本気で人手が足りない。
他の研究員なにしてんの?マジで。
「A、手伝いに来たぞ」
「波坂さん!!!いやヘルプ来るの遅!早くしてくださいよ!」
「新薬の成分練り直してたもんでな。で、それなんの薬?」
「止血剤です。あと5回分は作らないと」
「は?お前…1回分でも死ぬ程時間かかるってんのに」
「急ピッチでお願いします。もう1つは作ってあるんで」
彼は嘘だろ、という顔をしながらも渋々フラスコを手にとった。
私は注射器に完成した止血剤をセットし、それを2個分、他の薬剤師に渡す。
次2つ目か、と遠い目で点を見上げた後新しいフラスコを取り出した。
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宇琉夜ハル(プロフ) - 後 side ほしいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 後名前がわかったら zm「あ」 見たいなん欲しいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 出来れば夢主のセリフ『』こうしてください 時間があればでいいんで (2021年4月30日 18時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 晴さん» それは良かったです!!ありがとうございます!めちゃくちゃ遅れましたが見てますよ!!!頑張ります!!! (2021年2月21日 20時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 通りすがりの亀さん» 最初はその予定でしたが、主人公が後悔することのないようにヘイトを向けさせて上層部をクズに仕立てあげました(^^ ありがとうございます!頑張ります!!! (2021年2月20日 21時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚 | 作成日時:2021年1月31日 9時