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｢おい、薬品課のAはいるか｣
｢はあ。私です｣
｢訪問者だ。ついてこい｣
彼は門の方を親指で指さす。
門兵が偉そうに口をきけたものだなと素っ気なく返事をする。
城内に、タンタンと乾いた床を歩く足音が響く。
彼は私を何とも思っていないのか、思うがまま自分の歩幅で歩いていく。
死ぬほど速いんだが？私のこと考えろ！追いつけないよ！
追いついては離され、追いついては離されの繰り返しである。
やっと門の外まで着いたところで、キョロキョロと周りを見渡す。すると、門を出てすぐのところで、手を後ろに回した彼が壁にもたれかかっていた。
｢あ！トントンさん｣
｢お久しぶりです。お礼の品……納品書と、これ、は俺の個人的なやつですが｣
彼の体の後ろから、両手で抱えきれない程の大きな花束が顔を出した。
私はビックリして、えっ！と大きな声をあげてしまう。
彼は少し赤く頬を染めて、その花束を差し出してくる。
｢え……！？え、いいんですか、！？めっちゃ嬉しい、です｣
｢よかった…。迷惑かと｣
｢いや全然！…でも、自分あんまり花詳しくなくてですね……。何の花かさっぱり｣
｢あ、俺も全然やったんですけど、ガーベラっていうらしいです｣
｢ガーベラ｣
なんか良さそうな名前、と小学生のような感想が出てくる。
男性から花束、なんて生まれて初めてでその気がなくとも嬉しく感じてしまう。受け取った花束から香るガーベラの匂いは、あまりにも良い香りで頭がくらりと揺れそうになった。
｢…じゃあ、俺はこれで｣
｢本当にありがとうございます…！｣
｢それはこっちのセリフですわ。じゃあまた、後で｣
馬車に乗り込む彼に小さく手を振った。
…………ん？後で？
｢おかえ……えっ、花束じゃん！誰に貰ったの？｣
｢トントンさん。備品の納品書ももらった｣
｢へー、ガーベラじゃん。しかもピンク｣
｢Aやるじゃん｣
｢いや、厚意で頂いただけですから｣
｢本当か〜？お前、それ意味知ってんの？｣
薬品開発に時間を注いでいる身としては、花言葉なんて分かるはずもない。ましてや花の名前すら知らなかったのに、意味なんて更に分かるわけがない。
私ははっきり備品の納品書をもらったと告げたはずだったが、意外にも彼らは頂いた花束に釘付けである。職業柄、人との交流は少なくないが花束を貰ってきたのは初めてだった。
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宇琉夜ハル(プロフ) - 後 side ほしいです (2021年4月30日 19時) (
レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 後名前がわかったら zm｢あ｣ 見たいなん欲しいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 出来れば夢主のセリフ『』こうしてください 時間があればでいいんで (2021年4月30日 18時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 晴さん» それは良かったです！！ありがとうございます！めちゃくちゃ遅れましたが見てますよ！！！頑張ります！！！ (2021年2月21日 20時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 通りすがりの亀さん» 最初はその予定でしたが、主人公が後悔することのないようにヘイトを向けさせて上層部をクズに仕立てあげました(^^ ありがとうございます！頑張ります！！！ (2021年2月20日 21時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚
| 作成日時：2021年1月31日 9時
