夢主side ページ19
────────
まだ肌寒い朝
私の店の開店前の下準備は始まる
先ずはゼラチン質の菓子のチェック
それから昨日焼いたスポンジの出来栄えを見つつ 生クリーム、フルーツ類を用意し飾り付けていく
その後出来上がったケーキをショーケースに並べていき
それが終わったら 焼き菓子類をラッピングし、店内の掃除、終えたら店の玄関を掃き 開店前の下準備は終わる
この動作を終えるのは 開店前10分前といつもぎりぎりの時刻だ
朝食は普段客の少ない 午前9時頃済ませる
今日もそのつもりだったのだが
珍しく開店時刻の9時ぴったりに店の扉が開いた
『いらっしゃいま…』
「やァ、Aさん。今日も相変わらずお綺麗ですね。是非私としん((」
『ご用件は何でしょう?』
其処には 昨日お会いした探偵社の太宰さんがいた。
「やーね、只昨日来たものだったから店内がどんな風になっているのか気になってね」
此の人は変わっている
「所で 昨日は大丈夫だったかい?」
太宰さんは自身の目の下を指でなぞる
昨日のこととは 私が中也さんの名を聞き嬉しくて太宰さんの前で泣いてしまった事だろう
『…はい、その節はお騒がせしました』
「とんでもない、Aさんの美しい泣き顔も見れたことだしね」
いつの間にか私の目の前にやって来ていた太宰さんは私の頬を人差し指で押す
『…やめてください』
『…あっ…あと昨日…ありがとうございました。』
「ん?何がだい?」
『その…中也さんのこと…』
「あァ、名前ね…」
『はい…私 太宰さんが言って下さらなかったら中也さんの名前…知ることもできなかっただろうし…』
「中也は名前すらAさんに教えようとしないのかい?」
『…はい、名前もそうなんですけど 私中也さんのこと何も知らないんです。』
『太宰さんは中也さんとはお知り合いなんですか?』
名前呼びをしている事だ。きっと太宰さんと中也さんの関係は他人ではなく互いが信頼し合っているのだろう
「確かに古い仲ではあるけど 今はそれ程でもないよ」
太宰さんは私の方を見て微笑んだ
『…そう…なんですか…』
羨ましいな
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:EYE | 作成日時:2018年1月13日 4時